Ledger社、8600万ドル規模の仮想通貨流出を調査──98アドレスの被害とサプライチェーンの懸念高まる

Ledger社が8,600万ドル規模の仮想通貨流出を調査

大手ハードウェアウォレットメーカーであるLedger社は、東南アジアの正規販売代理店を介した暗号資産の不正流出報告を受け、調査を進めていることが明らかになった。

日本語訳:
Ledgerは、東南アジアのユーザーがCryptoBillisというリセラーから製品を購入した際に資金の損失を報告した件を調査中です。予防措置として、また調査結果を待つ間…

複数名のオンチェーンアナリストやセキュリティ研究者による追跡分析では、被害額が8,690万ドル(約137.4億円)に上り、98以上のウォレットアドレスが関与している可能性が浮き彫りになった。今回の件は、ハードウェアの流通ルート=サプライチェーンにおける物理的な改ざん疑惑も指摘されており、Web3業界全体へ波紋が広がっている。

代理店CryptoBilis経由の流出被害とLedger社の初期対応

今回の問題は、インドネシア、マレーシア、フィリピンなどの東南アジア地域でLedger製品の正規代理店を務めるCryptoBilis(クリプトビリス)からデバイスを購入したユーザーを中心に発生した。不審な暗号資産の移転報告を受けて、Ledger社はCryptoBilisに対し、すべての製品販売および出荷の即時停止を指示した。

併せてLedger社は、直近90日以内に同代理店からデバイスを購入した顧客へ予防的措置を要請。未開封・未設定の端末については初期設定(アクティベート)を見合わせるよう求めており、すでに設定を終えて運用を開始しているユーザーに対しては、新しく生成したリカバリーフレーズ(※復元用シードフレーズ)を用いて、別端末へ速やかに資産を退避させることを強く推奨している。

ブロックチェーンアナリストによる資金追跡と被害規模の推定

オンチェーン分析を手がける研究者の調査により、多額の流出資産の挙動が可視化されつつある。

日本語訳:
XやRedditにおいて、Ledgerユーザーのウォレットから資金が抜き取られる被害が報告されています。
盗難に関与したアドレスを追跡したところ、Ethereum、TRON、Bitcoinを含む複数の主要ブロックチェーン上で、数百もの被害者ウォレットから当該アドレスへの資金流入が確認されました。

研究者のSpecter(スペクター)氏による分析では、ビットコイン(Bitcoin/BTC)、イーサリアム(Ethereum/ETH)、トロン(Tron/TRON)など、複数のネットワークにまたがり、98の不審なアドレスを通じて合計8,600万ドルから8,690万ドル相当の資産が流入したと推定されている。

別の追跡者であるtanuki42(タヌキ42)氏も早期に7,200万ドル(約113.8億円)超の流出を検知しており、不審なアドレスの特定作業が進行。また、一部の流出資金にはテザー(Tether/USDT)が含まれていたため、発行元のテザー(Tether)社が関連アドレス上の資産を凍結するなどの緊急措置を講じたとも報じられている。なお、これらの推定被害額についてはユーザーの追跡に基づく報告であり、Ledger社による最終的な確定数値ではない。

サプライチェーン攻撃の可能性とデバイス物理改ざんの検証

今回の事件で最も注目されているのは、暗号資産の盗難が単なるフィッシング詐欺やソフトウェアの脆弱性にとどまらず、ハードウェアの物理的な改ざん(サプライチェーン攻撃)に起因しているのではないかという懸念だ。

元Mt. Gox CEOのマーク・カルプレス(Mark Karpeles)氏は、配布前のハードウェアに悪意のある追加部品(インプラント)が組み込まれた可能性を指摘し、影響を受けた基板の検証を進めている。同氏によると、端末内部の画面通信などを監視する不正パーツが装着された場合、セキュリティ機能であるセキュア・エレメントが正常に機能して真正性確認(Genuine Check)を通過してしまっても、復元フレーズが第三者に盗み取られるリスクが生じる。

さらに、バイナンス(Binance)創業者であるジャオ・チャンポン(趙 長鵬:Zhao Changpeng)氏も初期情報に基づき、流通ルートでの不当な干渉や偽造デバイスの混入といった局所的なサプライチェーンリスクに言及。同氏はユーザーに対し、購入直後の端末へ即座に巨額の資金を投入しないよう注意を促している。

ユーザーに求められる安全対策と今後の課題

現時点でLedger社は「自社のバックエンドシステムやインフラが直接侵害された形跡はない」と強調しており、全体的な製品エクスプロイト(脆弱性の悪用)と結論付けるには至っていない。

しかし、リカバリーフレーズの窃盗経路が物理的改ざんによるものか、悪質なサードパーティ製アプリやフィッシング詐欺によるものかの判定には慎重な検証が続けられている。すべてのハードウェアウォレット利用者は、いかなる理由であれリカバリーフレーズをPCやスマートフォンの画面に入力したり、サポートを騙る第三者に共有したりしない徹底が求められる。

サプライチェーンを巡る脅威が可視化された今、正規ルートでの購入徹底に加え、セットアップ時の慎重な確認作業がこれまで以上に重要となっている。

 

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