Circle、Tazapayを4億ドルで買収—USDC決済インフラを強化し国境なきステーブルコイン普及を加速へ

CircleがTazapayを4億ドルで買収

米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」の発行企業であるCircle(サークル)は、シンガポールを拠点にグローバル決済インフラを展開するTazapay(タザペイ)の買収に合意した。

今回の取引は4億ドル(約614.6億円)相当の全額株式交換方式で実施される予定だ。発行されるCircleのクラスA普通株式数は、取引完了前20営業日における出来高加重平均終値(VWAP)をベースに算出され、Tazapayの負債や現預金、取引費用などに応じて調整が行われる仕組みだ。

今回の案件は、Circleにとって2018年の暗号資産取引所Poloniex(ポロニエックス)買収以来の大型投資であり、ステーブルコイン業界全体を見渡しても屈指の取引規模となる。SEC等米国規制当局への開示情報によると、買収の完了にはMAS(シンガポール金融管理局)からの承認など規制上の認可が必要であり、手続きの完了は2027年中となる見込みだ。

なお、規制手続きが進む期間中も、Tazapayが提供するサービス、API、価格体系、カスタマーサポートなどの稼働体制に影響はないとしている。

買収の背景とTazapayが有するグローバル基盤

CircleがTazapayの買収に踏み切った最大の目的は、世界各地で確実に現地通貨へと接続できる「ラストマイル」の決済インフラを獲得することにある。

ステーブルコインはブロックチェーンを介して瞬時に世界中へ送金できる一方で、現地の法定通貨へ換金・出金(ペイアウト)するには、各国・地域の銀行網や法規制に準拠したライセンス、現地口座などのネットワークが不可欠だからだ。

Tazapayは60社以上の銀行やフィンテック事業者と連携し、100を超える国・地域の市場で現地通貨の集金・送金機能を提供。同社の年間決済取扱高は、2025年8月時点の100億ドル(約1.5兆円)から急増し、直近では250億ドル(約3.8兆円)規模に達した。

特筆すべき点として、同社が処理する総決済量の約60%がすでにステーブルコインベースで運用されていることだ。同社は米国、オーストラリア、カナダ、シンガポールでライセンス等を保有しており、EU(欧州連合)、UAE(アラブ首長国連邦)、香港でもライセンスの取得申請を進めている。

両社は従前より深い協力関係にあり、Circleの投資部門であるCircle Ventures(サークル・ベンチャーズ)は2025年8月のシリーズB出資に参加していたほか、TazapayはCircle Payments Network(サークル・ペイメンツ・ネットワーク)の設計パートナーとしても貢献してきた。

グローバル決済の標準化に向けた展望

Circleはこれまでにも、Hashnote(ハッシュノート)の買収(1億ドル:約153.6億円)やCybavo(サイバボ)の買収、Coinbase(コインベース)からのCentre Consortium(センター・コンソーシアム)持分取得(2億1,000万ドル:約322.5億円)、さらにIBMからの大量のブロックチェーン関連特許取得など、積極的な事業拡大を継続してきた。

Circleの経営陣は、本買収によってアジア太平洋地域や新興国市場を中心とする国際決済のルーティング性能が大幅に強化されると強調。24時間365日、即座に決済を完了できる基盤を確立することで、USDCを国境を越える国際商取引の標準的な決済プラットフォームへと成長させる狙いだ。

市場の動きとして、発表日のニューヨーク証券取引所(NYSE)におけるCircle社の株価は前日比約2.7%安の99.30ドルと一時的に軟調な推移を見せたものの、年初来では25%を超える上昇率を記録しており、成長戦略に対する投資家の関心は引き続き高く維持されている。

 

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