テザー社、電力紛争を理由にウルグアイでの1億2,000万ドルBTCマイニング事業を撤退

テザー社、電力紛争を理由にウルグアイでのマイニング事業を撤退

ステーブルコイン「USDT」を発行するテザー(Tether)社は、ウルグアイで進めていた推定1億2,000万ドル(約191億円)規模のビットコイン(Bitcoin/BTC)マイニングプロジェクトを放棄したことがあきらかになった。

撤退の直接的な要因は、国営電力会社UTEとの契約を巡る認識の食い違いだ。テザー側の現地法人マイクロフィン(Microfin)は契約上の供給量を「将来的な増量に応じる最低ライン」と捉えていたのに対し、UTE側は「上限」と解釈。マイニング需要の拡大に伴う供給不足で操業に支障が出始め、2025年3月の政権交代によりUTEの新体制が厳しい態度へ転じたことで対立が激化。料金不払いを理由に同年7月に電力供給が遮断され、テザー社は現地従業員の大部分を解雇して事業を閉鎖した。

南米の実験拠点から得た課題とAI領域への市場シフト

ウルグアイのプロジェクトは、2023年5月にテザー社が南米展開を進める上での“試験的な拠点”としてスタート。同国は政治的安定性や再生可能エネルギーのインフラ環境に優れており、当初は順調に収益を上げていたとされている。

しかし、2024年4月に発生したビットコインの半減期以降、ハッシュプライス(計算力あたりの収益性)が急激に低下し、業界全体で収益の圧迫が深刻化。専門家によると、ウルグアイはインフラ面で優れているものの電気料金が比較的高く、ボラティリティの高い暗号資産マイニングよりも、需要が高まるAI(人工知能)データセンターなどの用途に向いていると指摘されている。

直営型から「インフラ・制御層」への戦略転換

自社拠点の閉鎖を余儀なくされたテザー社だが、マイニング市場そのものから退くわけではない。同社は自社で直接マイニング施設を所有・運営するスタイルから、ソフトウェアやハードウェアの規格をコントロールする垂直統合型の支援・管理モデルへと舵(かじ)を切っている。

ソフトウェア展開: 独自開発した「MiningOS」やマイニング開発キット(MDK)をオープンソースで公開。
エネルギー基盤の確保: 230メガワット以上の再生可能エネルギーを保持するアデコアグロ(Adecoagro)の株式を取得し、ブラジルなどでの余剰電力活用を推進。
資本提携: Canaan社などのハードウェア開発への参画や、マイニングプール「OCEAN」へのハッシュレート割り当て。

ステーブルコイン事業で強固な財務基盤を持つ同社は、外部の電力契約リスクを抑えつつ、AIやエネルギーインフラを含む包括的なエコシステムの自立を図っている。

 

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