韓国銀行主導のCBDC実証実験が第2段階へ
韓国銀行が推進するCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の試行事業「漢江(ハンガン)プロジェクト」で、2025年に実施された初期検証の成果を踏まえ、同行は早ければ2025年9月にも第2フェーズへ移行する方針を明らかにした。
2025年4月から6月にかけて行われた第1フェーズでは、メガバンク7行と約1万2,000の加盟店が参画。約8万1,000個の専用ウォレットが開設され、11万件を超える決済処理を成功させている。参加行はこの基盤整備のために300億~350億ウォン(33億円~38.5億円)規模の投資を実施した。
9月からスタートする第2段階では、慶南銀行とiM銀行の2つが新たに加わり、参画銀行は計9行へ拡大。また、サービス対象者も最大50万人規模へと大幅に増員され、実生活での利便性を模索する本格的な実証が行われる見通しだ。
実用に向けた新機能と「プログラム可能」な補助金
第2フェーズにおける最大の特徴は、単なる決済検証にとどまらない、高度な金融機能の組み込みだ。
指紋などの生体認証ログインをはじめ、ユーザー間の直接送金(P2P)、預金口座と連動した自動チャージ、定期決済、利息の付与機能などが幅広く提供される。システム構造としては、韓国銀行が金融機関間での決済に用いるホールセール(卸売)CBDCを発行し、各商業銀行がそれを裏付けとして一般向け預金トークンを発行する2層構造が採用されている。
さらに注目すべきは、コードによって条件を設定できる「プログラム可能なトークン」を活用した、政府補助金の給付実験だ。用途や利用範囲、有効期間があらかじめ限定されたデジタル通貨を配分することで、支給プロセスの簡素化や紙書類での監査コスト削減、不正利用の防止が期待されています。中小事業者にとっても、従来のカード決済手数料を下回る決済コストの実現が検証される予定だ。
拡大するエコシステムとプライバシーを巡る論争
本プロジェクトは特定の終了期日を設けない運用が予定されており、新総裁の就任後も主要な金融政策課題として位置付けられている。
民間領域でも、大手銀行によるウォン連動型ステーブルコインの検討や、政府による暗号資産の国家資産分類に向けた法改正の動きなど、デジタル資産を巡るエコシステム全体が大きく変化しつつある。
しかしその一方で、通貨のプログラム可能性や中央集権的な履歴管理に対しては、個人の自由やプライバシーの観点から慎重な論調も根強く存在する。指定された使途や期限の設定、あるいはウォレットの凍結機能などが過度な資金追跡や国家による管理に繋がるのではないかという懸念は、各国のCBDC開発においても共通する課題だ。
諸外国の対応も分かれており、中国のデジタル人民元(e-CNY)が先行して運用を進める一方で、米国では特定条件下でのCBDC導入を制限する法案が成立するなど、規制モデルの構築においては世界的に対比が見られる。韓国における「漢江プロジェクト」の第2段階は、デジタル通貨の実用性と統制のバランスを検証する貴重な先行事例として、今後の動向が注目される。
























