チェコ国立銀行が試験投資でデジタル資産の運用を検証
CNB(チェコ国立銀行)は、ビットコイン(Bitcoin/BTC)を含む総額100万ドル(約1.5億円)のテストポートフォリオを構築し、デジタル資産の運用プロセスを検証する取り組みを始めた。
ポートフォリオは外貨準備とは切り離されて組まれており、金融政策や為替介入に影響を与えることなく、ブロックチェーン技術を活用した取引や保有の実務面を確認することを目的としている。プロジェクトは2~3年の期間で進められる計画だ。テストでは、デジタル資産の購入から保有、管理、多層承認やセキュリティ対策、緊急時対応、AML(マネーロンダリング防止)規則の遵守まで、運用サイクル全体を評価する。
CNBは現時点でデジタル資産のエクスポージャーを増やす意向は示しておらず、あくまで運用経験の取得を目的とする取り組みとして位置づけている。
テストポートフォリオの構成と狙い
構築されたポートフォリオには、ビットコイン、米ドル建てのステーブルコイン、トークン化された預金の3種類が含まれ、これらは市場取引を通じて取得されたもので、一部の資産はビットコインとの交換で購入されている。
アレシュ・ミヒル(Ales Michl)総裁は、2025年初頭にテストポートフォリオの構想が生まれたと説明しており、中央銀行の視点から分散型ビットコインを検証し、準備金の多様化における潜在的な役割を評価することが目的だと述べている。また、ビットコインの価格は非常に変動しやすく、投資家は常にリスクを認識すべきだと注意喚起している。
同氏は、急速に進化する決済システムやトークン化された金融商品に対応するため、中央銀行も新しい仕組みに精通する必要があると指摘する。将来的には、チェコ・クローネを用いてトークン化された国債やその他の金融商品を簡単な取引で購入できる可能性にも触れており、今回のパイロットを通じて、そうした取引の実務や技術的・コンプライアンス上の要件を学ぶ狙いがある。
運用フロー全体の技術検証
テストでは、鍵の技術管理、多段階承認、セキュリティ、危機対応、AML遵守など、実務に関わる要素が網羅的に評価される。試験期間が終わった後、CNBは結果を再検証し、得られた知見を今後のデジタル資産の取り扱い方針にどのように生かすかを検討する予定だ。
欧州で進む国家レベルのビットコイン採用の流れ
チェコの取り組みは、欧州で広がるビットコイン活用の動きの中に位置づけられる。
ルクセンブルクでは、政府系ファンドが資産の1%にあたる約700万ユーロ(約12.6億円)をビットコインへ配分しており、ジル・ロス(Gilles Roth)財務大臣も積極的な姿勢を示している。
同じくチェコ国立銀行も、中央銀行として独自の判断でビットコインを中心とした100万ドル規模のデジタル資産テストポートフォリオを構築。CNBはこのパイロットを通じて、鍵管理や多段階承認、危機対応、セキュリティ体制、そしてAML遵守まで、デジタル資産の購入から保有・管理に至る運用プロセス全体を検証するとしている。
ビットコインは供給量が2,100万枚と固定されており、その多くが長期保有者により保有されているとされる。各国政府や機関投資家による採用が進むことで、需要と供給のバランスに変化が生じる可能性も指摘されている。
CNBは、テストポートフォリオに含まれるデジタル資産が外貨準備の一部ではないことを改めて強調している。これらの資産は外貨準備とは別枠で管理されており、為替介入や金融政策の実施能力には影響しないとしている。試験期間の終了後、得られた知見を踏まえて、将来のデジタル資産に関するフレームワークを検討していく見通しだ。
























