フランスで国家仮想通貨準備金構築のビットコイン法案が提案される
フランスは、ビットコイン(Bitcoin/BTC)を戦略的デジタル資産として扱うことを目指し、国家ビットコイン準備金制度を提案した。
2025年10月28日(水曜日)に提出された決議案にて、フランスのエリック・シオッティ(Éric Ciotti)議員率いる右派・中道連合(UDR)が提出したこの提案はフランス国民議会に対し、ECB(欧州中央銀行)が先導する可能性のあるデジタルユーロを禁止し、「ユーロ・ステーブルコインの普及と仮想通貨資産への投資」を促進するよう求める提案をした。
同議員が主導する新たな提案には、国家ビットコイン戦略準備金制度の創設も求めており、この仮想通貨を一種の「デジタルゴールド」と位置付けている。この法案は、フランスを“欧州で初めてビットコインを戦略的国家資産として扱う国”にすることを目指しており、今後8年間で総供給量の最大2%、約42万BTCを取得する可能性がある。
準備金の主な財源
同議員が提出したこの提案は、フランスのデジタル金融へのアプローチを再構築しようとするもので、国の金や外貨保有と同様の構造を持つ、公的機関が管理するビットコイン準備金の設置を求めており、この準備金の主な財源を3つ挙げている。
- フランスは余剰の原子力発電と水力発電のエネルギーを、公営のビットコインマイニング事業の支援に活用A
- 司法手続き中に押収されたビットコインは国が保有
- 「Livret A」口座などの人気商品から得られる貯蓄の一部を、日々の少額のビットコイン購入に充当できるようにする
さらに、この法案では、憲法上の承認を待って、フランス国民が特定の税金をビットコインで支払うことを認めることも提案されている。同議員は、米国を含む他国がフランスのマイニング資産の購入を試みる中、これらの措置はフランスの財政的自立を強化することを目的としていると強調している。
仮想通貨の普及とエネルギー自立
提案されているビットコイン戦略は、仮想通貨とフランスのエネルギー政策が密接に結び付けられている。
原子力発電はすでにフランスの電力の約7割を供給しており、政府は国内消費を阻害することなく、余剰エネルギーをビットコインマイニングに投入できる。
また今回の提案では、フランスのデジタルインフラに対する外国の影響に対する懸念を浮き彫りにしている。特に、米国企業による外国の買収者によるエクサイオンのようなフランスの仮想通貨マイニング企業やAI(人工知能)企業の買収への反対を具体的に言及している。
この法案は、マイニング事業に対する国内管理を維持することで、データとエネルギー資源の両方をフランス国内に留めることを目指しており、エネルギー主導のアプローチは、フランスが未使用電力の無駄を削減すると同時に、新たなハイテク産業を支援することにも役立つ可能性がある。
デジタルユーロではなくステーブルコイン
この法案は、ビットコイン準備金に加え、少額決済用のユーロに裏付けられたステーブルコインの導入を提案している。
200ユーロ未満の取引は非課税となり、国民はデジタルユーロや民間のステーブルコインを日常の少額購入に利用できるようになる。ただし、同議員の提案は、ECB(欧州中央銀行)が管理するデジタルユーロ=CBDCという構想も否定している点がポイントだ。同議員は、国家発行のデジタル通貨は国民のプライバシーを脅かし、政府による個人支出への過度の監視につながる可能性があると指摘。代わりに、政府が定義する安全策の下で民間部門がイノベーションを起こせるような分散型アプローチを求めている。
この法案には、政府によりメリットだけではなく、マイナーへの電気税の引き下げや、機関投資家が規制されたプラットフォームを通じてビットコインを購入しやすくするなど、フランスの仮想通貨セクターへの投資誘致策も含まれている。
フランスのビットコイン構想は、他の欧州諸国がエネルギー、テクノロジー、金融の交差点をどのように捉えるかに影響を与える可能性があるほか、EU(欧州連合)内で規制とイノベーションのバランスに関する新たな議論を促す可能性がある。
























