FCAがHTXを違法資産プロモーションで提訴
FCA(英国金融行動監視機構)は、仮想通貨鳥居期初HTX(旧Huobi Global)に対し、英国の消費者に対し仮想通貨サービスを違法にプロモーションしたとして法的措置を講じた。
FCAは、HTXデジタル資産取引所を構成する複数事業体に対し、訴訟を起こした。FCAは、HTX関連のマーケティングチームがソーシャルメディアを通じて違法資産プロモーションをしていたと主張。
HTX(旧名:Huobi)は、ステーブルコインを含む資産のステーキングに対し、幅広い報酬プログラムを提供しており、トランプ家の仮想通貨ファンドWorld Liberty Fiが発行するステーブルコイン「USD1」を取り扱っていることから、同取引所の創設者であるジャスティン・サン(Justin Sun)氏やトランプ一家との関連が指摘されている。
しかし、今回の被告にはサン氏の名前は含まれておらず、訴訟内容や影響を受けた機関についての詳細は明らかにしていない。FCAは以前、HTX市場の利用に関する警告を発しており、違法資産プロモーションを理由に同取引所を提訴している。これまでのところ、HTXは新規上場による事業拡大の初期段階において、1米ドル建てステーブルコインの主要取引所となってきた。FCAは声明の中で提訴に至った経緯について、次のように述べている。
FCAは、国際的な仮想通貨取引所であるHTXに対し、英国の金融プロモーション制度に違反して英国の消費者に仮想通貨サービスを違法に宣伝したとして、高等裁判所に民事訴訟を起こした。
なお、FCAは訴訟の主な目的について、消費者保護と英国金融市場の基準維持であると説明している。
オフショア・プロモーションを厳しく取り締まる
FCAは、英国外で事業を展開しながらも英国の消費者に仮想通貨サービスを宣伝している企業は、依然として英国の金融プロモーション規則の対象となると述べている。
FCA広報担当者は記者団に対し、「企業が法律を無視したり、英国の投資家を危険にさらしたりする場合には、躊躇(ちゅうしょ)なく行動する」と断言。HTXは2023年からFCAの警告リストに掲載されており、これは「認可を受けておらず、違法に運営されている可能性が高い」企業を一般市民に警告するものとなっている。
ジャスティン・サン氏の訴訟が再浮上
今回の訴訟は、HTXの実質的な所有者であり、トロン(Tron)ネットワークの創設者でもあるサン氏に関連する訴訟のリストに新たな一手をもたらした。
2023年3月、SEC(米国証券取引委員会)は、サン氏とトロン財団に対し、未登録証券の販売とTRXおよびBTTのウォッシュトレード(裏取引)の共謀の疑いで訴訟を起こしている。この訴訟は未解決のままだが、裁判所の書類によると、両当事者は和解の可能性を模索しているという。
サン氏については、ガバナンスに関する懸念についても精査されており、トロンのネイティブトークンTRXの流通供給量の過半数をサン氏が支配しているという報道もある。
英国の措置は、サン関連企業に対する規制圧力を強める可能性があり、HTXとトロンベースの資産の統合、そしてサン氏によるHTXのグローバル展開拡大に向けた最近の取り組みは、彼の帝国を規制当局の標的にし続けている。