テザー約3億ドル和解で決着セルシアス破産訴訟が終結

テザーとセルシアスの和解を象徴するデジタル握手のイラスト。ブロックチェーンを背景に、信頼と安定を表現。

破綻直前の資産清算を巡る争いに終止符債権者回収に前進

ステーブルコイン発行企業テザー(Tether)はCelsius(セルシウス)の破産財団との訴訟を解決するため約3億ドル(約452.9億円)の支払いで合意した

これにより破綻直前の担保清算をめぐって続いてきた訴訟が終わり長期化していた紛争は一区切りとなる。

訴訟はセルシウスが2022年に破綻する数週間前に行った担保資産の清算が争点だった。セルシウス側は清算が債権者の利益を損なう「優先的」または「詐欺的」な譲渡に当たると主張し当初は約45億ドル(約6,793億円)相当のビットコイン(Bitcoin/BTC)の返還を求めていた。

今回の合意ではテザーが約3億ドルを支払う形で全面解決する。和解はBRIC(ブロックチェーン・リカバリー・インベストメント・コンソーシアム)が2025年10月14日(火曜日)に発表した。BRICはGXDラボとVanEck(ヴァンエック)の合弁で2024年1月からセルシウスの資産回収と訴訟管理を担っている。

係争はニューヨーク南部地区の連邦破産裁判所で進み、2025年7月には訴訟継続が認められていたが今回の合意で関連する手続きは終了した。GXDラボのマネージングパートナーであるデビッド・プロマン(David Proman)氏は敵対的訴訟と関連請求の解決を歓迎するコメントを発表した。テザーの最高経営責任者パオロ・アルドイーノ(Paolo Ardoino)氏も合意成立をSNSで認めている。

日本語訳:
テザーは、セルシウスの破産に関連するすべての問題が解決できたことを嬉しく思っています。

業界に広がる波紋ステーブルコインの信頼回復へ一歩

今回の和解は不正行為の認定を含まないが、ステーブルコイン発行体が破綻案件で直面しうる法的リスクを改めて示した。

和解額は当初請求から大幅に減った一方、破産財団にとっては実行性の高い回収資金となり債権者配当の原資確保を後押しする。BRICが主導する回収スキームでは流動性の乏しいトークンや係争資産の管理が継続しており、今回の合意は同枠組みの中でも大規模な成果に位置づけられる。セルシウスの事業縮小は再建計画の進行とともに最終段階へ近づき長引いた不確実性の一部は解消した。

市場ではテザーを巡る大型訴訟の収束が一定の安心感をもたらしたとの見方が広がっている。破綻に伴う損失は依然大きいものの今回の和解は破綻処理の新たな前例として位置づけられ今後の資産回収や法務対応のモデルケースとなる可能性がある。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム