ヴィタリック・ブテリン EUのチャット監視案に警鐘

イーサリアム共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏がEUのチャット監視法案に懸念を示すイラスト

デジタルプライバシーへの脅威

イーサリアム(Ethereum)共同創設者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は、EU(欧州連合)が検討する「チャット監視」法案に強い懸念を示した。

暗号化を含むプライベートメッセージを一律にスキャンする仕組みは、重大な脆弱性を生むと警告する。市民の安全は監視の常態化ではなく、常識的な警察活動の改善で高めるべきだと主張した。強制的に集められた通信データはハッカーの格好の標的となり、別の主体に悪用される危険も高まる。対面や現金取引で保障されるのと同等のプライバシーを、オンラインでも確保すべきだと訴えており、同氏は自身のXアカウントでもこの立場を強調している。

日本語訳:
チャットコントロールと闘おう。人々を不安にさせることで社会を安全にすることはできません。私たちは皆、プライベートなコミュニケーションにおいて、ハッキング可能なバックドアの…

法案の骨子と懸念点

法案は児童搾取対策を名目に、メッセージングプラットフォームへ広範なスキャンを義務付ける。

バックドアの設置は通信の安全性を弱め、法を守る利用者まで新たなリスクにさらす。監視記録が保管されれば、その存在自体が攻撃対象となり、漏えいが社会全体の安全を損なう。傍受や蓄積が前提になると、盗聴データの保管庫が攻撃対象になる。鍵の管理が破られれば広範な被害に直結する。プライバシーとセキュリティは対立ではなく、適切な設計で両立させるべきだという立場だ。

ブテリン氏の主張と広がる反対

政府関係者や軍、諜報機関に適用除外を設ける案も浮上しており、監視を推進する側が自らは対象外という構図は偽善だと批判が強い。

起業家ピーター・レベルズ(Peter Levels)氏は市民に反対の声を促し、QuillAudits共同創業者プラタム・ラオ(Pratam Rao)氏は立法者自身が受け入れない監視は専制的だと指摘した。ダイオード社ハンス・レンペル(Hans Rempel)氏は「鍵がなければデータもない」という原則を強調し、ブリッケン社エリセンダ・ファブレガ(Elisenda Fàbrega)氏は法案成立でEU(欧州連合)のプライバシー基準に対する国際的信頼が損なわれると懸念を示す。可決されれば中央集権型サービスへの不信が高まり、分散型のWeb3への移行が加速するとの見方もある。ブテリン氏はSNSでEU市民に広く反対を呼びかけている。

EU各国の態度

現時点でオーストリア、フィンランド、オランダなど7カ国が計画を拒否している。一方で、フランス、スペイン、デンマークを含む15カ国は支持に回るが、必要な過半数にはまだ届いていない。ドイツやイタリアは未定の立場であり、最終的な可否は主要国の判断に左右される見通しだ。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム