トランプ家が関与するマイニング企業に出資
仮想通貨取引所ジェミニ(Gemini)の共同創業者キャメロン・ウィンクルボス(Cameron Winklevoss)氏とタイラー・ウィンクルボス(Tyler Winklevoss)氏が、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の息子ドナルド・トランプ・ジュニア(Donald Trump Jr.)氏とエリック・トランプ(Eric Trump)氏が関与する「ABC(アメリカン・ビットコイン・コーポレーション)」に出資した。
この投資は、現金とビットコイン(Bitcoin/BTC)を合わせ約2億2,000万ドル(約325億円)を調達した私募ラウンドの一部で、Hut 8のアッシャー・ジェヌート(Asher Genoot)CEO(最高経営責任者)によれば応募は超過したという。ただし、投資額は非公開だ。
ABCはGryphon Digital Miningとの合併を進めており、株主承認を経て2025年9月初旬にナスダック上場を予定している。エリック・トランプ氏は同社のCSO(最高戦略責任者)を務める。
政治・ビジネスで深まるトランプ家との結びつき
ウィンクルボス兄弟は、トランプ大統領の政治活動や選挙資金、スーパーPACに数百万ドル相当のビットコインを寄付してきた。
2024年の大統領選キャンペーンには200万ドル(約3億円)を拠出し、就任式やホワイトハウスでの仮想通貨サミットにも参加。また7月には決済ステーブルコイン規制法「GENIUS法案」の署名式に出席し、大統領から直接感謝を受けた。
さらに兄弟は、トランプ政権や関係者が関与する規制当局人事や法案にも関心を示してきたとされ、政治的ネットワークを活用しながら事業領域を拡大している。こうした背景は、今回の出資が単なる投資以上の意味を持つ可能性を示している。
ジェミニのIPO申請と規制当局を巡る動き
ジェミニは6月にSEC(米国証券取引委員会)へIPOを申請した。Earnプログラムの未登録証券疑惑に関する調査は2月に終了している。
CFTCとの長期争訟
同社はCFTC(米商品先物取引委員会)とも長期にわたり対立してきた。
2017年のビットコイン先物取引開始に関連し、元幹部ベンジャミン・スモール(Jack Baughman)氏がオークションプロセスの完全性を巡って内部告発。CFTCは2018年初頭に調査を開始し、数年にわたって続けたが、2022年の民間仲裁でスモール氏は「不誠実で信頼できない」とされ、ジェミニに500万ドル(約7.4億円)を支払う判決が下された。米連邦検察は告訴を拒否し、同社の先物商品は、Cboeが規制上の不確実性を理由に取引を停止するまで運用されていた。
ジェミニはCFTCへの批判を公表し、ジャック・ボーマン(Jack Baughman)弁護士は「経済的損害やイノベーションの停滞、税金の浪費は計り知れない」と述べた。