コインベースが米国SECにトークン化株式の提供承認を申請か
コインベース(Coinbase)は、米国規制当局に対し、従来型株式のトークン化版の提供承認を求めている。
コインベースのポール・グレワル(Paul Grewal)CLO(最高法務責任者)は2025年6月17日(火曜日)、同社はSEC(米国証券取引委員会)に対し、NOL(ノーアクションレター)(※1)または免除措置のいずれかを通じて、明確な説明を求めている事を明らかにした。これにより、Coinbaseは執行措置を講じることなく、ブロックチェーンベースの株式取引を開始する余地が得られ、同社はロビンフッド(Robinhood)やチャールズ・シュワブ(Charles Schwab)といった証券会社と直接競合する可能性がある。
民間企業などの新たな事業活動を行おうとする事業者が、法令解釈の明確化を図り迅速に新規事業を進めていくうえで有用な制度で、具体的な事業計画に即して、あらかじめ、規制の適用の有無を確認できる制度。
同CLOは、同社が正式な申請を提出したかどうかについては明言を避けているものの、今取り組みは「極めて重要な優先事項」であると主張。規制の不確実性は、決済時間の短縮、24時間取引、低コストを約束するトークン化証券にとって大きな障害となっていると述べている。米国の投資家はトークン化証券への参入をほぼ阻まれており、承認されれば、今計画は同社が仮想通貨トークン以外の分野にも進出する取り組みにおける新たな一歩となる事が予想される。
注目を集めるトークン化された株式
トークン化された株式は海外で注目を集めており、5月には、ライバル取引所クラーケン(Kraken)がxStocksを立ち上げている。
トークン化株式は、従来の株式取引では、株式の決済に数日かかり、ブローカーは手数料を徴収し、市場はニューヨーク時間午後4時に閉鎖される。しかし、ブロックチェーンベースの株式は、ほぼ即時の決済、より低い手数料、そして24時間365日取引を約束する。
xStocksは、欧州、中南米、アフリカ、アジアなど、米国以外のユーザー向けに、50種類以上の世界の株式とETF(上場投資信託)のトークン化されたバージョンを提供。さらにクラーケンは、機関投資家をターゲットにした、取引、保管、資金調達を含む包括的サービスを提供する新プライムブローカー・プラットフォーム「Kraken Prime」も展開。豊富な流動性、24時間365日のサポートに加え、米国認可銀行であるKraken Financialが保有する適格保管口座からの直接取引執行を提供することで、Coinbase PrimeやFalconXに対抗することになる。
登録ブローカーディーラーではないコインベースは、規制面で苦い思いをしてきている。SECは2023年に、適切な登録なしに営業していたとして同社を提訴し、今年初めに取り下げられた。同社は、SECに正式にトークン化の申請を提出したかどうか、またそのような製品の発売時期については明らかにしていないが、米国内で、透明性と公正性をもってそれを提供したいと考え、進んでいる。