コインベース(Coinbase)、米国銀行免許取得申請を検討中

コインベースが米国の銀行免許取得申請を検討

米国最大のデジタル資産プラットフォームであるコインベース(Coinbase)は、仮想通貨企業が従来の金融システムとの統合を目指す中、米国連邦銀行免許の申請を検討していることを確認した。

現在、仮想通貨業界では大きな規制改革が進行中であり、コインベースのような業界大手は銀行免許取得の検討に動いている。この動きは、同社のブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)CEO(最高経営責任者)が以前述べたことと一致する。同CEOは、同社が運用する消費者資金の規模に基づくと、同社は米国で21番目に大きな銀行になるとの自信をのぞかせている。

さらに、同社だけがこのような動きを検討している仮想通貨関連企業ではなく、USDC発行企業のCircle(サークル)や、ステーブルコイン発行企業Paxos(パクソス)仮想通貨カストディのBitGo(ビット・ゴー)も、完全な銀行免許の取得を検討していると報じられている。

免許の取得には、厳格な規制当局の審査と高額なコンプライアンス費用が伴うが、認可されれば、仮想通貨企業は預金や融資サービスの提供など、従来の銀行に近い業務運営が可能になる。

コインベースは免許取得を目指す理由を明らかにしていないが、連邦銀行免許の取得には、報告基準やコンプライアンス基準の強化など、新たな規制要件が伴う。現在、連邦銀行免許を保有する唯一の仮想通貨企業であるAnchorage Digital(アンカレッジ・デジタル)は、同社が認可を取得したにもかかわらず、国土安全保障省のエルドラド・タスクフォースを含む法執行機関が調査を開始したという。

Bloomberg Television「Fed Chair Powell Delivers Economic Outlook(日本語訳:パウエルFRB議長が経済見通しを発表)」より動画引用

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連邦銀行免許への関心は、米国の規制当局がステーブルコインを金融システムに統合することに前向きになっていることを受けて高まっている。FRB(連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長は最近、ステーブルコインの役割が拡大していることを認め、その利用に関する法的枠組みは「良い考えだ」と述べ Bloomberg Television ている。

ステーブルコインとアルトコインの規制準備を進める米国

免許取得に向けた動きは、米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の下で仮想通貨に好意的な米国政権が進む中で起こっている。

SEC(米国証券取引委員会)などの規制当局は、主にトランプ大統領の政治任命者のおかげで、より寛容な姿勢を取っている。議員らは現在、GENESIS法とSTABLE法という2つの主要法案を審議しており、これらは仮想通貨セクターの規制の明確化を目的としており、規制を遵守する企業に利益をもたらすことが期待されている。

米国下院金融サービス委員会は4月初旬、共和党支持のステーブルコイン枠組み法案、「the Stablecoin Transparency and Accountability for a Better Ledger Economy:より良い台帳経済のためのステーブルコイン透明性・説明責任法(STABLE法)」を可決。米国で立法プロセスを進めているもう一つの法案は、3月中旬に米国上院銀行委員会で可決された「the Guiding and Establishing National Innovation for US Stablecoins:米国ステーブルコインのための国家イノベーションの指導と確立法(GENIUS法)」である。STABLE法とGENIUS法は、現状のステーブルコイン業界に対する規制方法が異なっている。

STABLE法は、連邦政府による監督と、自己発行資産を裏付けとする担保付きステーブルコインの発行を2年間停止するなど、より厳格な要件に重点を置いているほか、準備金と企業資金の分離も義務付けている。GENIUS法はより広範なアプローチを採用し、連邦と州の監督のバランスを取りつつ、米ドルに裏付けられたステーブルコインの普及を促進することを目指している。この法案には、準備金基準、マネーロンダリング(資金洗浄)対策の遵守に関する規定が含まれており、ステーブルコイン発行者は金融機関として指定される。

一方で、米国の銀行勢も仮想通貨ビジネスに積極的に取り組んでおり、今年(2025年)2月、Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)のブライアン・モイニハン(Brian Moynihan)CEOは、同社が独自ステーブルコインの発行を検討していることを明らかにしている。

デジタル資産が伝統的な金融市場で存在感を高め続ける中、コインベースの今回の動きは、銀行セクターへのさらなる進出を目指す他の仮想通貨関連企業と肩を並べることになると期待されている。

 

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