仮想通貨の採用はモバイルやインターネットの成長を上回る
ブラックロック(BlackRock)の最新調査によると、世界の仮想通貨の普及は、携帯電話やインターネットよりも急速に成長し、12年で3億人に達した。
この成長は携帯電話の普及より43%速く、インターネットより20%速い成長率であり、ブラックロックの米国テーマ別およびオルタナティブETF(上場投資信託)責任者ジェイ・ジェイコブス(Jay Jacobs)氏によると、採用面で仮想通貨は携帯電話やインターネットよりも急速に成長。同氏による最新レポートで、携帯電話が3億人のユーザーに到達するまでに21年、インターネットは同じく3億人のユーザーに到達するのに15年かかっている。仮想通貨が3億人のユーザーに到達するまで12年かかっており、携帯電話より3年早い普及率だ。このレポートでは、時価総額2兆ドル(約314.6兆円)を誇る世界有数の仮想通貨としてのビットコイン(Bitcoin/BTC)の役割と、デジタル化する世界経済における分散型資産としての需要の高まりを強調している
同社は、普及は人口動態の傾向、「デジタルネイティブ」の台頭によって推進されていると指摘しており、若い世代はX世代やベビーブーマー世代よりもビットコインの普及に前向きだと指摘している。
各世代間の比較
米国を拠点とする金融サービス会社Empower(エンパワー)は1,009人の米国人を調査し、Z世代の回答者の34%が現金よりも仮想通貨を好んでいることが明らかになり、これはすべての年齢層の中で最も高い割合であった。
移民向けに金融商品やリソースを提供するプラットフォームであるStilt(スティルト)は、Z世代(1980年から1995年の間に生まれた世代)とミレニアル世代(1981年〜1990年代なかばに生まれた世代)の購入者がすべての仮想通貨購入のほぼ94%を占めていると報告。これに対し、40歳以上の購入者は6%強に過ぎず、世代を比較すると、Z世代の購入者はX世代(1965年~1981年ころに生まれた世代)の 3.5 倍、ベビーブーマー世代(1946年から1964年に生まれた世代)の14.3倍。ミレニアル世代はX世代の15.5倍、ベビーブーマー世代の62.9倍を上回っており、仮想通貨市場における若い世代の大きな優位性を示している。
デジタル化経済における仮想通貨の役割
ジェイコブス氏は、世界経済のデジタル化が進むにつれて、ビットコインやその他の仮想通貨の新しい使用例が次々と出現していると強調している。
国境を越えた支払いにおいて仮想通貨は、迅速で低コストの国際取引を可能にし、スマートコントラクトにより、法的契約とプロセスの自動化によってさまざまな業界で業務が合理化されている。
また、仮想通貨の採用においてはすでに世代交代がみられており、現在は若い世代が先頭に立っている。その背景には、ミレニアル世代と Z 世代はデジタル資産に慣れており、ビットコインを現代の金融ツールと見なして、受け入れている事が感得られる。年配の世代は懐疑的ではあるものの、ビットコインに対する制度的承認の増加により、従来の投資家の間で受け入れが広がっているのも現状だ。
ビットコインの急速な採用は、現代の金融および技術の課題に対処する上での独自の価値提案を浮き彫りにしている。インフレ懸念、経済不安、世界的な政治的分裂が続く中、ビットコインやその他の仮想通貨の需要は高まり、金融エコシステムにおける地位を固めると予想されている。