ロジャー・バー氏、脱税容疑で反論:仮想通貨業界への影響は?

「ロジャー・バー氏の脱税容疑を象徴する法と仮想通貨の対立を描いたイメージ

DOJ(米国司法省)は、「ビットコイン・イエス」として知られるロジャー・バー(Roger Ver)氏を脱税容疑で起訴した。同氏は2014年に米国籍を放棄し、日本国籍を取得。司法省によれば、2017年にビットコインやその他の仮想通貨の売却によるキャピタルゲインを申告せず、約4,800万ドル(約70億円)を脱税したとされている。

米国籍を放棄する際には、「出国税(Exit Tax)」が課される。この税金は、全資産が売却されたものと仮定して課税される仕組みだ。IRS(内国歳入庁)は、同氏がこの税を意図的に回避した可能性があると主張している。

バー氏の反論と憲法違反の主張

バー氏は起訴内容について、「憲法違反である」と反論。彼は脱税を意図して行動したわけではなく、「政治的見解」が起訴の背景にあると主張している。また、彼の弁護士チームは、仮想通貨資産の評価や税務プロセスが不正確であり、同氏の権利を侵害していると述べている。

同氏は現在、スペインにて保釈中であり、米国への引き渡しを巡る法的手続きが進行中だ。今回の訴訟が仮想通貨業界全体への規制強化を意図している可能性があるとして、業界内外から注目を集めている。

出国税の仕組みとその影響

出国税は、米国市民が国籍を放棄する際に課される税金であり、この税は、資産が売却されたものとしてキャピタルゲイン税を課す仕組みであり、高額資産を保有する個人にとっては重大な負担となる。

同氏が米国籍を放棄した2014年当時、ビットコイン(Bitcoin/BTC)価格は1BTCあたり数百ドル程度であった。しかし、その後の価格上昇により、IRSが後追いで課税を求めた点が今回の論争の核心であり、同氏はこの点について、IRSの評価基準が不正確であると指摘している。

仮想通貨業界への影響

この事件は、仮想通貨業界における税務コンプライアンスの重要性を浮き彫りにしする一方で、米国政府が業界リーダーをターゲットにすることで、仮想通貨の成長を抑え込もうとしているとの懸念も広がっている。

特にRipple社に対するSEC(米国証券取引委員会)の訴訟と並び、今回のケースは米国の規制当局の厳しい姿勢を象徴している。今回の事件は仮想通貨市場全体に広範な影響を与える可能性があり、その結末に注目が集まっている。

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム