フィデリティとシグナムがチェーンリンクと提携
フィデリティ(Fidelity)とシグナム(Sygnum)がチェーンリンク(Chainlink)と提携を発表し、NAV(純資産価値)データをオンチェーン化された資産データの透明性とアクセス性を高めていく事がわかった。
この提携により、チェーンリンクはNAVデータをオンチェーン化するのを支援する予定とのことだ。発表で明らかにされたこの革新的な動きは、デジタル資産分野の透明性とリアルタイムのデータアクセスを強化することを目的としており、この提携は、ファンド管理とブロックチェーン統合への注目の高まりを反映している。
スェーデン・チューリッヒで開催されたPoint Zero Forum2024での発表で、チェーンリンクはフィデリティ・インターナショナルおよびシグナムとの提携を明らかにした。この提携はNAVデータをオンチェーン化することに焦点を当てており、トークン化された資産の世界で大きな進歩となる。
これにより、アライアンスは重要な資産データ、特にフィデリティ・インターナショナルの69億ドル(約1.1兆円)の機関流動性ファンドのオンチェーン表現の透明性とアクセス性を高めることを目指している。仮想通貨銀行のシグナムは、マター・ラボ(Matter Labs)の財務準備金5,000万ドル(約80億円)をトークン化。この取り組みは、ミューチュアルファンドが提供するような短期の高品質債券への投資を継続しつつ、財務準備金をオンチェーン化するという同社の戦略の一環であった。
注目点は、これらの準備金はフィデリティのマネーマーケットファンド内に保有されており、チェーンリンクSCALEプログラムの不可欠な部分であるZKsyncブロックチェーン上で運用されていることである。
目指すは既存の金融システムとブロックチェーン技術を統合
トークン化の動きは単なる技術のアップグレードではなく、従来の金融システムとブロックチェーン技術を統合するという業界のより広範なシフトを反映しており、チェーンリンクの役割がこの変革において極めて重要である。
背景として、同社はNAVデータの配信に対してチェーンに依存しないアプローチを提供し、複数のブロックチェーン間で安全かつ正確なレポート作成を可能にする。NAV データをオンチェーンで同期するこの機能により、シグナムとそのクライアントに加え、より広範な市場に対してリアルタイムの透明性と履歴データへのアクセスが保証される。この統合が、チェーン間の相互運用性と動的なデータ同期を通じてトークン化された資産の需要を満たすというチェーンリンクの取り組みを強調していることです。
トークン化された資産とリアルタイムデータ
シグナムのトークン化責任者であるファトマイヤー・ベキリ(Fatmire Bekiri)氏によると、今パートナーシップは、従来の金融とブロックチェーン セクターをつなぐ重要なステップとのこと。
3者の連携は、ブロックチェーンネイティブ企業からのオンチェーン資産と、NAVデータに対する高まる需要に対応している。チェーンリンクのテクノロジーにより、NAVデータはオンチェーンで、パブリックブロックチェーンとプライベートブロックチェーンの両方で安全かつ正確に更新できる。ファンドのトークン化がデジタル資産の分野で支配的なトレンドとして浮上していることからも、この開発は非常に重要となる。チェーンリンクの共同創設者であるセルゲイ・ナザロフ(Sergey Nazarov)氏は、ファンドのトークン化が今日のデジタル資産の最大のトレンドであると強調。この連携により、グローバルな資産管理会社がトークン化された市場に参入することが裏付けられていると述べている。
一方、オンチェーンの NAV データの統合には、透明性の向上、リアルタイムの更新、さまざまなブロックチェーン環境にわたる安全なデータ波及など、多くの利点があり、伝統的な金融がブロックチェーン技術と融合し続けるなか、正確でアクセスしやすいNAVデータの重要性は強調しすぎることはない。