SNBスイス国立銀行がデジタルフランの試験運用を2年間延長

スイス国立銀行がデジタルフランのパイロットを2年間延長

SNB(Swiss National Bank:スイス国立銀行)は、CBDCの統合を模索するため、デジタルフランの試験運用を2年間延長したことが分かった。

今回分かった2年間延長の背景には、金融機関の参加を拡大し、現実世界のシナリオでパフォーマンス、セキュリティ、スケーラビリティを評価することを目指している事が挙げられている。今回の動きは、CBDC(中央銀行デジタル通貨)の可能性と金融システムへの統合を模索するスイスの取り組みを示している。

当初はデジタルフランの実現可能性と影響をテストするために開始されたこのパイロットは今後、現実世界のシナリオにおける通貨のパフォーマンス、セキュリティ、スケーラビリティの評価を継続していくとのことだ。SNBの理事会メンバーであるアントワーヌ・マーティン(Antoine Martin)氏は、2022年12月の開始以来のパイロットの成功を称賛し、CBDCテクノロジーの理解を深める役割を強調している。

パイロットプロジェクトにはさらに多くの金融機関が参加する予定

当初6月30日に終了する予定だったこのパイロットプロジェクトには、今後さらに多くの金融機関が参加する予定だ。

ーティン氏は、ホールセールCBDCはより幅広い金融取引に利用可能になる可能性があると述べており、これまでのところ、このパイロットプロジェクトには、スイスの証券取引所プロバイダーSIXと協力し、UBSグループAGやコメルツ銀行AGを含む6つの商業銀行が参加しており、同氏は次のように語っている。

パイロットプロジェクトの今後の成功は、新しい金融市場参加者が参加するかどうか、取引量が増えるかどうか、そしてこのプラットフォームで追加の金融市場取引が決済されるかどうかに大きく左右されるだろう。SNBがホールセールCBDCまたはデジタルSNB紙幣を恒久的に導入するという約束を構成するものではない。

トライアル中、SNBはブロックチェーン上で通貨を発行し、金融機関がトークン化された資産を中央銀行との取引に使用できるようにした。中国で見られるような小売中心のCBDCパイロットとは異なり、デジタルフランは機関取引のみに限定されている。大手メディアのブルームバーグは、デジタルフランはすでに実用的な応用を示しており、チューリッヒのSIXデジタル取引所で少なくとも5件の債券発行を決済しており、今月初めには世界銀行債券の2億2,600万ドル(約359億円)の決済も行われたと報じている。