ベネズエラのマドゥロ大統領が国際制裁回避に仮想通貨を利用か

米国による制裁がマドゥロ大統領の仮想通貨回避を促進か

ベネズエラの野党指導者らは、ニコラス・マドゥロ(Nicolás Maduro)大統領が国際制裁を回避するために仮想通貨を利用していると主張している事がわかった。

日本語訳:
批評家らは、ベネズエラのマドゥロ大統領が制裁を回避するために仮想通貨を利用すると主張している

米国は最近、マドゥロ大統領が2024年7月に予定されている公正選挙の約束をしなかった事を理由に、ベネズエラに対して金および石油産業に対する制裁を復活させている。米国は20年近くにわたって民主改革推進を理由に、ベネズエラに制裁を課してきた。Chainalysis(チェイナリシス)の国家安全保障情報責任者アンドリュー・フィアマン(Andrew Fierman)氏は次のように述べている。

ベネズエラ政府とマドゥロ政権は長年にわたり、さまざまな方法でこれ(制裁回避)を実行してきた。


米国による制裁には抜け穴も

ウッドロー・ウィルソン国際学術センター(Woodrow Wilson International Center)の報告書は、現在の制裁の抜け穴を浮き彫りにしている。

ベネズエラの反体制活動家レオポルド・ロペス(Leopoldo López)氏とチェイナリシスのクリストファー・ドゥセッテ(Kristofer Doucette)氏が共同執筆した同報告書は、マドゥロ政権が仮想通貨を使ってこれらの制限を回避する方法を詳述している。両氏は、マドゥロ政権の仮想通貨活動の経済的影響を強調しており、次のように指摘している。

マドゥロ政権が不正流用したドルはすべてベネズエラ国民のものである。この資金はベネズエラの苦境にある経済を活性化させることができたかもしれない。近年消えた数十億ドルは途方もない額であり、この国の衰退する経済を活性化させる上で極めて重要だったかもしれない。むしろ、マドゥロが仮想通貨を採用したことで、新興技術を利用して国の富を流用する新たな道が開かれ、国民はさらに貧困に陥った

両氏らは米国とEU(欧州連合)に、より厳格で包括的な制裁を実施するよう促し、ベネズエラ政府が制裁を回避するために仮想通貨を使用していることを調査するよう他国に求めている。

ペトロコインが失敗し、ベネズエラが7,000万ドル相当の仮想通貨を移動

Chainalysisは、ベネズエラ政府に関連する重要な仮想通貨活動を発見した。

彼らの分析により、ベネズエラの仮想通貨資産および関連活動の国家監督機関であるSUNACRIPが、さまざまなプラットフォーム間で大量のトークンを転送していることが明らかになった。7,000万ドル(約110億円)以上のステーブルコインが、おそらくSUNACRIPまたはその関連会社が管理するアドレスを通じて処理されたと考えられている。

NEXTMONEYの2018年10月5日付特集記事「ベネズエラの国営仮想通貨ペトロが11月5日に公開販売開始」で報じたように、2018年にベネズエラ政府は、国の石油と鉱物の埋蔵量を裏付けとする仮想通貨であるペトロを立ち上げた。目的はハイパーインフレと戦い、米国の制裁を回避することだった。しかし、ペトロは使用が義務付けられているにもかかわらず、あまり普及しなかった。なお、同国政府は2024年1月始、当サイト「ベネズエラの石油支援仮想通貨「ペトロ」が閉鎖へ」で報じたように、国営石油会社ペトロレオス・デ・ベネズエラSAへの不正流用金に関する汚職捜査の最中にペトロの使用を停止している。

ベネズエラの国営仮想通貨ペトロが11月5日に公開販売開始

2018.10.05

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