カルティエの後継者が薬物と仮想通貨洗浄で逮捕
世界的人気ラグジュアリーブランドCartier(カルティエ)の後継者であるマクシミリアン・ドゥ・フープ・カルティエ(Maximilien de Hoop Cartier)氏が、コロンビアの麻薬カルテルのために数百万ドルを洗浄した疑いで米当局に逮捕された事がわかった。
2024年5月2日(木曜日)、ニューヨーク州南部地区連邦検事局は、麻薬密売に関連した大規模な仮想通貨マネーロンダリング陰謀を明らかにした。当局によると、同氏とその仲間たちは、仮想通貨を利用して麻薬由来の資金を洗浄する数百万ドル規模の計画に関与していた。
同氏は主にフランスに居住しているが、アルゼンチンの市民権を保有しており、現在マネーロンダリング(資金洗浄)と無許可送金に関連した多数の容疑に直面。Cartierは、象徴的な高級ブランドの創設者であるルイ・カルティエ(Louis Cartier)氏の直系の子孫だが、一族が守り続けてきた信頼できるビジネスからは遠く離れてしまっており、検察側は、同容疑者がコロンビアの麻薬カルテルと共謀し、数億ドルの麻薬収益を洗浄しようとしたと主張。同氏らの計画には、違法資金を米ドルに固定されたテザー(Tether/USDT)に交換することが含まれていた。
USDTとダミー会社で身元隠しか
起訴状によると、同氏と5人のコロンビア人を含むその関係者は、主にOTC(店頭)USDT取引を資金洗浄に利用していたことがわかっている。
OTC 取引は従来の取引所をバイパスすることから、違法行為に対して身元を隠すことができる可能性がある。同犯罪グループは、取引をさらに隠すため、ソフトウェアおよびテクノロジー企業を装ったダミー会社を設立。これらのペーパーカンパニーは、自らの口座を使用して、洗浄された資金をUSDT、米ドル、コロンビアペソ、および場合によっては他の通貨に移動させていたとのことだ。
USDTのアンダーワールドの魅力
起訴状によると、このマネーロンダリング疑惑の活動にとって魅力的なものにした可能性のあるUSDTの特徴が強調されている。
USDT はほぼ瞬時決済を誇り、従来の銀行規制の範囲外で運営されている。この監視の欠如は、大量の現金移動や信頼性の低い電信送金に伴うリスクに慣れている犯罪組織にとって魅力的とみられる。USDTを運営するテザー社は、プラットフォーム上での違法行為を抑制する措置を講じていると主張しているが、同氏の訴訟はこれらの措置の有効性について疑問を投げかける結果となった。