パキスタンは経済的虐待の懸念の中で女性向けを含めたCBDC計画を加速

パキスタン国立銀行がCBDC計画を加速

パキスタンの中央銀行にあたるパキスタン国立銀行(State Bank of Pakistan)は、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)計画を加速する新たな一歩を踏み出したことが分かった。

リヤドで開催されたWEF(世界経済フォーラム)特別会合でのムハンマド・アウラングゼブ(Muhammad Aurangzeb)財務大臣の発言は、国の経済変革に新たな勢いを与えた。同大臣は、パキスタンの年収の大部分が公式に記録されていないことを指摘しており、非公式経済がこの国の最大の障害であることを強調している。

女性にとっての金融包摂の重要性とCBDC構想による経済の強化

同大臣はまた、女性の経済的エンパワーメントを支援する政策を強調し、女性にとっての金融包摂の重要性を強調している。

同大臣は、同国が女性の権利を強化し、経済的虐待に対処するために中央銀行デジタル通貨を検討している事を明らかにした。現地TVの報道によると、ド応大臣は、WEFで講演し、男性家族による現金流用の懸念に対処し、CBDCの立ち上げに向けて検討していると述べたうえで、次のように語っている。

政府はパキスタンの貧しい女性たちに現金を提供しています。女性たちは、家族の男性が現金を受け取っていると話している。女性たちはデジタルウォレットを通じて現金を入手したいと考えています。

同大臣は、女性、特に現金盗難などの問題に直面している女性を経済的に強くするため、デジタルウォレットの利用を増やすことの重要性を指摘したほか、政府援助プログラムの効果を高めるためにデジタル決済の利用を促進する必要性にも言及した。

パキスタン国立銀行は2025年までにデジタルルピー導入を目指す

2023年7月に同銀行は、2025年までにデジタルルピーの導入を目指している。

同銀行のジャミール・アハマド(Jameel Ahmad)総裁は、この計画はCBDCに関連する他の中央銀行の経験を慎重に考慮し、安全なデジタル通貨に焦点を当てることを目指していると主張。高インフレで仮想通貨への関心が高まっている現在、国家デジタル通貨への移行は経済を強化し、統制を維持するための重要なステップとみなされている。

パキスタンの動きは国内の経済的理由だけによるものではなく、地域の近隣諸国、特にインドは、CBDC利用拡大のための試験プログラムを開始しており、パキスタンはこうした発展に遅れないよう行動する必要がある。

中央銀行は研究開発努力を続ける

世界中の中央銀行の大多数は現在、デジタル通貨の研究と開発に積極的に取り組んでいる。

これは、CBDCについてパキスタン中央銀行が講じた措置の適時性を浮き彫りにしている。CBDCは、国の経済変革の一環として非公式経済を削減し、金融包摂を高める大きな可能性を秘めている。パキスタンはデジタル経済への移行において重要な転換点にあり、同大臣の声明は、同国がこの変革プロセスにおいて断固とした一歩を前進し続けることを示している。なお、CBDC計画はパキスタン経済の将来に有望なロードマップを提供する可能性がある。