ジェネシスはSEC訴訟を2,100万ドルで和解することで合意

ジェネシスがSECと2,100万ドルで和解合意

ジェネシス・グローバル・キャピタル(Genesis Global Capital、※以下、ジェネシスと表記)はこのほど、SEC(米国証券取引委員会)との法的紛争を解決し、2,100万ドル(約31.5億円)という多額の民事罰の支払いに合意したことが明らかになった。

この和解は、ジェネシスと仮想通貨取引所ジェミニ(Gemini)が個人投資家を対象とした証券募集として適切な登録を行わずに開始したGemini Earn lending program(ジェミニ・アーン・レンディング・プログラム)に関連する申し立てに起因している。

SECのゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は2024年3月19日(火曜日)の声明で、仮想通貨レンディング・プラットフォームやその他の仲介業者が証券法を遵守することの重要性を強調したとのこと。同委員長は、このようなコンプライアンスは投資家保護だけでなく、金融市場の信頼と整合性を維持するためにも極めて重要であると強調し、証券法の遵守は裁量ではなく義務であると主張した。

SECとの和解条項

和解条項では、SECが受け取るのは、個人投資家からの請求を含む他の破産関連の支払いが満たされた後の2,100万ドルの違約金の一部のみとなる。

この和解により、2023年1月にSECがジェミニとジェネシスに対し、ジェミニ・アーン・プログラムを通じて未登録証券の販売に関与したとして起こした訴訟は事実上終結する。というのも、ジェネシスは2022年11月、プラットフォームからのユーザー引き出しを停止した際、運営上の問題に直面。当時、ジェミニ・アーンは、SECの発表に開示されているように、約34万人の顧客と総額9億ドル(約1352.7億円)の運用資産を誇っていた。そのため、2,100万ドルの罰金は、ジェミニが複数のコンプライアンス上の欠陥に対処するために3,700万ドル(約55.6億円)の罰金を支払うことに合意したことに続くものである。

また、NYDFS(ニューヨーク州金融サービス局)のエイドリアン・ハリス(Adrienne Harris)管理官は2月28日の声明で、これらの欠陥が同社の全体的な安全性と安定性にリスクをもたらしたと説明。NYDFSとの和解の一環として、ジェミニはジェミニ・アーン・プログラムに参加した顧客に最低11億ドル(約1653.6億円)を返還する予定だ。この返還は、ジェネシスが関与する現在進行中の破産手続きを通じて行われる。破産裁判所によって承認されれば、この取り決めにより、ジェミニ・アーンのユーザーは、発生した可能性のある値上がり分を含め、暗号通貨資産を100%回収できることになる。

ジェミニはこの可能性について楽観的な見方を示し、合意が承認されれば、現在の市場価格に基づき18億ドル(約2706.6億円)以上の価値の返還が見込まれると指摘。これは、ジェネシスが2022年11月に引き出しを停止した時の資産価値と比較すると、7億ドル(約1052.6億円)の大幅な増加となり、ジェネシスとSECとの間の和解は、ジェミニがNYDFSと別途合意したことと共に、ジェミニのアーン貸出プログラムをめぐる法的および規制上の問題の解決に向けた重要な一歩となる。

これらの進展はまた、急速に発展する仮想通貨業界における規制遵守と投資家保護の重要性を強調しており、今後の行方に大きな注目が集まっている。