バイナンス幹部らがナイジェリアで拘束
世界的仮想通貨取引所バイナンス(Binance)の上級幹部2人がナイジェリアで拘束された事が分かった。
この措置は、ナイジェリアの法定通貨ナイラ(通貨コード:NGN)の安定化を目指す同国政府の取り組みに続いて実施。前例のないボラティリティ(※価格変動差)が見られ、インフレ率は30年ぶりの高水準となる29.9%に達している。
同取引所の幹部らは、政府による複数の仮想通貨取引プラットフォームの禁止を受けてナイジェリアに到着。しかし、彼らは国家安全保障担当補佐官事務所に拘留され、パスポートを没収されたとのこと。彼らの拘束の詳細は、ナイジェリア当局とナイラの投機取引の天国となっている仮想通貨市場との間の緊張の高まりを一層浮き彫りにする形となった。
ナイジェリア中央銀行のオラエミ・カルドーソ(Olayemi Cardoso)総裁は記者会見でバイナンスについて言及しており、仮想通貨プラットフォームを通じた違法かつ不審な資金の流れについて懸念を表明。同総裁によると、過去1年間にバイナンス・ナイジェリアを通じ260億ドル(約3.9兆円)が取引されており、次のように語っている。
私たちは、これらのエンティティの多くを通過する違法なフローやせいぜい不審なフローを示す特定の行為が継続していることを懸念しています。バイナンスの場合、過去1年だけで、われわれが十分に特定できない情報源やユーザーからバイナンス・ナイジェリアを経由して260億ドルが流出した。
バイナンスは主要仮想通貨に対するナイラの取引を停止させていた
これらの展開を受け、バイナンスは主要仮想通貨に対するナイラの取引を停止させており、同国内で直面している規制の過熱に対する取引所の即時反応を示している。
同国政府の取り締まりは、ナイラ切り下げの一因となった投機取引を抑制する広範な戦略の一環であり、当局は仮想通貨取引所をターゲットにすることで、より管理され透明性の高い金融環境を確立することを目指している。ナイジェリアでの出来事は、世界的な規制環境を乗り越え、仮想通貨市場での優位性を維持するというバイナンスの取り組みにさらなる複雑さを加えている。