2023年にロシア国内で起きた金融詐欺事件のほぼ半数が仮想通貨に関係
ロシア中央銀行は、2023年にロシア国内で起きた金融詐欺事件のほぼ半数が、決済に仮想通貨や外貨を利用していたことを明らかにした。
注目されているのは、中央銀行が同国内での詐欺の急増を詳述し、進行中のエスカレーションに対抗するための戦略的措置を概説する報告書の中でこの開示をしたことである。この報告書は、2023 年に不正行為に関与した5,735の事業体を特定。
同中央銀行によると、この数字は、2022年に記録された詐欺スキームの数4,964件に比べて15.5%増加。これらのスキームの普及が進んでいるにもかかわらず、その継続期間は短くなり、それに関連する損失は減少している。5,735件の詐欺のうち、2,944件は金融ねずみ講に関連しており、2022年の2,017件から増加。中央銀行はさらに、仮想通貨と外貨がねずみ詐欺の優先的な支払い方法であり、支払いの45%を占めていることを確認した。
データによると、全詐欺計画の26%に相当する1,500件近くの詐欺計画が、絶対的な匿名性を実現するブロックチェーンの性質を利用する目的で、寄付に仮想通貨を使用しており、これはビットコイン(Bitcoin/BTC)の誕生以来広く普及しているパターンである。
匿名性に対する懸念の高まり
仮想通貨に批判的な世界のリーダーの多くは、ブロックチェーンによって促進される匿名性の高まりが不支持の原因であると考えている。
仮想通貨は認識されているほど匿名ではないと多くの人が主張しているものの、Tornado Cash(トルネードキャッシュ)のような仮想通貨ミキサーの使用はこれらの懸念を悪化させるだけである。
2018年2月、マイクロソフトの創設者ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏はReddit(レディット)のAMA(Ask Me Anything=なんでも聞いて)セッションで仮想通貨が提供する匿名性のレベルについて発言。同氏は、仮想通貨の匿名性は法執行機関による犯罪者の追跡を困難にするため、特に「良いこと」ではないと主張した。さらに、2022年3月、欧州中央銀行のクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)総裁は、ロシアが欧米諸国からのの制裁を回避するために仮想通貨を利用していると主張。すでに消滅した闇市場Silk Road(シルクロード)のメンバーも、匿名性を高めるための取引にビットコインに注目していた。
こうした複数の使用事例と増大する懸念にもかかわらず、仮想通貨業界のリーダー数人は、金融犯罪のツールとしての法定通貨の使用も蔓延していると主張。バイナンス(Binance)の元CEO(最高経営責任者)ジャオ・チャンポン(趙 長鵬:Zhao Changpeng)氏は2023年、ビットコインは追跡可能だが現金は追跡できないと主張している。