ジェミニのCTOが辞職へ
兄タイラー・ウィンクルボス(Tyler Winklevoss)氏とその弟であるキャメロン・ウィンクルボス(Cameron Winklevoss)氏の双子の兄弟が率いる仮想通貨取引所ジェミニ(Gemini)は、プラジット・ティワナ(Pravjit Tiwana)CTO(最高技術責任者)兼グローバル最高技術責任者の退任により、新たな岐路に直面していることが明らかになった。
大手メディアのブルームバーグは2023年11月6日(月曜日)、同CTOが2023年11月に同社を退社する予定であると、この件に詳しい2人の人物の話として報じている。同CTOは2022年1月にジェミニに入社してからCTOとしての役割に加え、アジア太平洋地域のCEO(最高経営責任者)も務めた人物である。同CTOは今月中に退社する予定であり、この動向に詳しい内部関係者は、デリケートあ問題のため、匿名を希望しながら、この情報を共有している。
在任中、ジェミニのチーム構造の再編成に尽力
2022年1月の在任中、同CTOはジェミニの企業理念の再編に尽力し、かつて6年以上統括管理職を務めたAWS(アマゾンウェブサービス)の組織慣行からインスピレーションを得たという。
アマゾンのダイナミズムを反映することを目指したこれらの変革は、ジェミニのチーム構造の再編成につながり、その結果、同社から数名の離職者が出ていた。同CTOの役割は多面的で、製品開発、エンジニアリング、デザインといった重要な部門を監督していたほか、主要な世界市場における戦略的拡大を反映し、インドにおける同社の事業の設立と成長の陣頭指揮を執っていた。同CTOの退社は、ジェミニのノア・パールマン(Noah Perlman)COO(最高執行責任者)が競合のバイナンスで新たな職務に就いた2023年初めに注目された退社に続くものだ。
長引く係争に巻き込まれているジェミニ
内部再編に加えて、ジェミニは仮想通貨貸し手のジェネシスとその親会社であるDCG(Digital Currency Group:デジタルカレンシーグループ)との長引く争いに現在巻き込まれている。
この争いは、DCGの創設者であるバリー・シルバート(Barry Silbert)氏とウィンクルボス兄弟間の公のやりとりにまで波及しており、業界内の緊張の高まりを物語っている。ジェミニは現在、規制当局の厳しい監視にさらされており、SEC(米国証券取引委員会)は同取引所に対して申し立てをしている。
SECは、ジェネシスとの共同事業であるEarnプログラムが未登録の証券募集にあたると主張しているが、ジェミニはこれらの主張に反論しており、タイラー氏はこの訴訟を些細(ささい)な違反行為とみなしている。これに対して、同取引所はニューヨーク州検事から、同社とDCGが11億ドル(約1653.8億円)にのぼる資金で顧客を欺いたとして訴えられており、両社はこの申し立てに反対。DCGはニューヨーク州司法長官の申し立てに異議を唱える意向を明確に表明している。当時、ジェネシスはジェミニの顧客資産10億ドル(約1,500億円)以上を保有していたとされ、ジェミニはこれらの資金を回収するため、ジェネシスおよびDCGと1年近く係争中である。