ケニア政府はワールドコイン(Worldcoin)を停止、潜在ユーザーを失う

ケニア政府はワールドコインの活動を一時停止

OpenAIのサム・アルトマン(Sam Altman)CEO(最高経営責任者)が支援する分散型 ID およびウォレットプロトコルであるワールドコイン(Worldcoin)は、プライバシーとセキュリティ上の懸念によりケニア政府によって停止された事が分かった。

ワールドコインの正式な立ち上げからわずか10日後、同社の虹彩スキャンデバイスOrb(オーブ)が利用可能だった数少ない国の1つであるケニアでは、同プロジェクトを一時停止させている。同国は、2021年にWorld IDの登録を開始した最初の国の1つだ。伝えられるところによると、ケニアは登録者数が最も多かった地域の1つでもある。当初、ワールドコインはケニアにオープンする約18のオーブ拠点をリストアップしていたが、最終的に残ったのはケニヤッタ国際コンベンションセンターの1拠点だけである。

ワールドコインの一時停止解除は国家リスクがないことを証明

NEXTMONEYの2023年7月31日付特集記事「ワールドコインの「無料マネー」を求め殺到する国民にケニアの規制当局が警告」で報じたように、何万人ものケニア人が虹彩をスキャンして世界IDを受け取るためにオーブに殺到している。

また、本人確認のために全員に与えると約束した25 WLD(約7,000円に相当)のワールドコインも、手続きを受ける動機になっていた可能性がある。しかし、国内でのこのプラットフォームの高い需要にもかかわらず、ケニア政府は8月2日(水曜日)、ワールドコインの活動をすべて一時停止することを決定。ケニア内務省および国家行政省は、関連機関が、国家に対するリスクがないことを証明する必要があると報告。ケニアのキスレ・キンディキ(Kithure Kindiki)内務・国家行政省内閣官房長官は声明のなかで次のように語っている。

関連するセキュリティ、金融サービス、データ保護機関は、前述の活動の信頼性と合法性、収集されるデータの安全性と保護、収集者がデータをどのように使用するつもりであるかを確立するために調査と調査を開始しました

なお、ワールドコイン関係者はこのニュースについて沈黙している。

反発に直面し続けるワールドコイン

物議を醸しているワールドコインプロジェクトは、開始と同時に激しく批判され、称賛と批判の両方を受けている。

これまでのところワールドコインのサービスを正式に停止しているのはケニアだけだが、同社は複数の国から批判を受けており、特にヨーロッパから厳しい監視を受けているのが現状だ。当サイトの8月1日付特集記事「フランス・ドイツの規制当局がワールドコイン(Worldcoin/WLD)を調査中」で報じたように、フランス、ドイツ、英国は最近、プライバシー監視機関が収集したデータの安全性を検証するためにこのプロジェクトを調査している真っ只中である。

さらに、ワールドコインの発売当日、イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏も、当サイト「ヴィタリック・ブテリン氏がワールドコイン(Worldcoin/WLD)のリスクと問題を語る」で報じているように、ワールドコイン、特に生体認証による本人確認に関する長いエッセイを発表。同氏は、収集されたデータのプライバシーとOrbデバイスのアクセシビリティーに関連する、プロジェクトのシステムに関する4つの主要なリスクを挙げている。

ワールドコインの「無料マネー」を求め殺到する国民にケニアの規制当局が警告

2023.07.31

フランス・ドイツの規制当局がワールドコイン(Worldcoin/WLD)を調査中

2023.08.01

ヴィタリック・ブテリン氏がワールドコイン(Worldcoin/WLD)のリスクと問題を語る

2023.07.26