タイ証券取引委員会が投資家保護を視野にした仮想通貨規制強化へ
タイSEC(タイ証券取引委員会)は、デジタル資産サービスプロバイダー向けの一連のガイドラインを制定し、シンガポールによる同様の措置を受けて、タイは仮想通貨取引所による融資サービスの提供を禁止した東南アジアで2番目の国となった事が分かった。
今回のガイドライン制定は、仮想通貨投資家のセキュリティを強化することを主な目的としており、2022年9月に始まった議論の結果である。規制の主な特徴は、すべての仮想通貨ビジネスが目立つように表示することを義務付けられている必須のリスク免責条項とのこと。また、免責条項は仮想通貨の高リスク性質を強調し、投資額全額を失う可能性について投資家に警告している。
過去からの教訓
仮想通貨業界に対するより厳格な規制を施行するというタイSECの決定は、2022年の壊滅的な仮想通貨融資危機の影響を大きく受けている。
セルシウス(Celsius)やブロックファイ(BlockFi)を含む複数の仮想通貨融資会社は、数十億ドルの顧客預金を集めた後に破産し、投資家資金は長期にわたる破産に閉じ込められたままになっている。さらに、FTX取引所の崩壊は、不適切記録による大規模な破綻をもたらし、厳格な規制の必要性をさらに浮き彫りにした。破綻後の調査で、FTXがバランスシートの赤字を補うため、顧客資金を傘下のヘッジファンドであるアラメダ・リサーチに移管していたことが明らかになり、世界的な規制上の懸念を引き起こす原因となっている。
これに応じて、タイSECによる新たなガイドラインは、顧客資金を融資や投資に使用することを禁止している。また、預金者と貸し手に利益を提供する預金サービスも禁止しており、これらの措置は、投資家保護を強化し、同様の災害を防ぐことを目的としている。これらの制限にもかかわらず、タイSECは消費者が資産として仮想通貨に投資することを許可しており、投資と投機取引を区別している。
さらにタイSECは、投資家保護のため、ユーザーが仮想通貨に投資できる最大額を決定する投資家適性評価も導入しており、新規制は2023年7月31日に発効される予定だ。タイSECによる今回の規制の動きは、仮想通貨市場における強固な規制枠組みの確立に向けた世界的な傾向の高まりを改めて示している。