CBDC導入意識調査で米国人の大多数がCBDCの導入に躊躇している事が判明
2023年5月下旬、公共政策研究機関のケイトー研究所(Cato Institute)と世論・データ会社ユーゴフ(Yougov)は、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)導入の可能性に対する意識調査で、米国人の大多数がCBDCの導入に躊躇している事が分かった。
2社による最新調査は、2023年2月27日から3月8日までを対象に実施されており、総計2,126人を対象に世論調査を実施し、さまざまな状況下でのCBDCに対するスタンスを調査。調査の中で、政府がすべての購入を監視できるようになった場合、CBDCを支持するかどうかを参加者に尋ねた結果、完全支持を表明したのはわずか13%、68%が反対している事が分かった。残る約20%は明確な意思を表明していない。
質問の中には、政府による支出の管理を可能にするCBDCを支持するか拒否するかというものもあり、全面的支持しているのは10%のみで、74%が反対、約16%はどちらでもないと回答している。また、マネーロンダリング(資金洗浄)や詐欺と闘うために設計されたCBDCへの支持について尋ねたところ、42%が全面的に支持すると答えている。
調査対象者のうち、約28%が不正行為を削減するCBDCを完全拒否し、約31%がそれを支持するかどうか明確には回答していない。さらに、生活保護受給者が意図したとおりに資金を利用できるようにするCBDCの支持について質問したところ、40%が強く支持し、約31%が断固として反対、28%が分からないと答えている。
調査対象者はCBDCが政府による支出の完全にコントロールを懸念
一般に、基準が定められていないCBDCについては、米国人の34%がCBDC導入に反対し、16%が賛成している。
しかし、調査対象者のほぼ半数にあたる49%は、この問題について明確な意見を持っておらず、この概念に精通していないことが原因である可能性が指摘されている。実際、回答者の72%がCBDCについてよく知らないことを認めている。CBDCの可能性に関する懸念について尋ねたところ、回答者の66%が政府による財政管理への懸念を挙げ、2番目に多かったのは監視であった。
今後について、米国のCBDCが開始される可能性が高いと考えているのは調査対象者のわずか22%で、78%の大多数がそのような展開を予想していない。興味深い点として、ほとんどの民主党員と無所属議員はこの問題について明確な意見を表明しておらず、共和党議員の大多数はCBDC創設に断固反対との結果が浮かび上がっている。
全体として、今回の調査結果で浮かび上がったのは、回答者の76%は、CBDCの潜在的な利点よりも、CBDCに関連する潜在的なリスクについて大きな懸念を表明しているという点である。