デジタルドルの立ち上げはリスクが高いとFRB総裁が指摘

ボウマンFRB理事はデジタルドルのプライバシーに懸念

FRB(Federal Reserve Board:連邦準備制度理事会)のミシェル・ボウマン(Michelle Bowman)理事は、デジタルドルの導入に伴う潜在的なリスクについて警告し、プライバシーに関する懸念が十分に考慮されていないことを強調している事が分かった。

デジタルドルのようなCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)を取り巻くプライバシーに関する懸念は、依然として論争の的になっており、専門家は、CBDCはデジタル決済システムが残したものと同様の記録の痕跡を残し、ユーザーを監視に対して脆弱にすると示唆。同氏は、ジョージタウン大学での最近のスピーチでこのトピックについて話し、将来の支払いシステムに移行する際、消費者データのプライバシー保護を確実に維持する必要があることを改めて強調している。

BDCのプライバシーへの懸念には根拠がなく時期尚早か

一部の業界専門家は、CBDCのプライバシーへの懸念には根拠がないと主張しており、ミルケン研究所のデジタル資産の未来シンポジウムで、コンセンシス(ConsenSys)の最高リスク責任者であるマーク・ヤング(Mark Young)氏は、そのような結論を出すのは時期尚早であると述べている。

Georgetown McDonough「A Conversation with Federal Reserve Governor Michelle Bowman(日本語訳:連邦準備制度理事会のミシェル・ボウマンとの会話)」より動画引用

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ヤング氏の意見では、業界の参加者は民主的な価値を具現化するデジタル通貨とプラットフォームを考案する必要があるとのこと。一方のボーマン氏は、CBDC が銀行口座を持たない層のオンボーディングを促進するという議論にも疑問を投げかけており、デジタルドルが信頼問題に対処する可能性があると主張。しかし、政府が高度に規制された銀行よりも信頼できると見なされる可能性は低いと考えている事を明らかにした。

現金の資料減少が銀行サービスが利用できない人口を増やす可能性

現金の使用が減少するにつれて、米国の世帯の4.5%は銀行口座を利用できず、黒人、ラテン系アメリカ人、貧しい人々は銀行サービスを利用できない可能性が高くなる

そのことから、一部専門家は、郵便局が銀行サービスを提供したり、商業銀行が請求する手数料を制限するなど、規制の変更に焦点を当てることがより良い解決策であると主張している。現在、米国におけるデジタルドルの開発と設計が検討されており、ニューヨーク連邦準備銀行は、複数の主要銀行と協力し、デジタルドルのユースケースをテストするための12週間のパイロットプログラムを開始している。

CBDCがどのようなものになるのかデジタル人民元に注目

CBDCの概念が勢いを増すにつれて、多くの人がデジタルドルがどのようなものになるかについての洞察を求めて中国のデジタル元に注目しているのも現状だ。

米国議員たちもこうした議論に注目し始めており、スティーブン・リンチ(Stephen Lynch)下院議員が後援するeキャッシュ法(eCash法)は、財務省にデジタル通貨の実装に向けた措置を講じるよう求めている。この法律は、物理的な現金のプライバシー、匿名性、最小限のトランザクションデータプロパティーを再現することの重要性を強調している。

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