バイナンスはジャスティン・サンのライバルであるフォビ株取得提案を拒否

バイナンスがフォビ売却の話を断っていた

取引高で世界最大の仮想通貨取引所であるバイナンス(Binance)は、ジャスティン・サン(Justin Sun)氏が保有する仮想通貨取引所フォビ(Huobi)の株式を購入することを検討していると、事情に詳しい匿名関係者が述べていることがCoindeskの報道によって明らかになった。

しかし、フォビのうわさされている中国本土との関係が、バイナンスにサン氏のオファーを断らせたと明らかにしており、この人物は、サン氏がジャオ・チャンポン(趙 長鵬:Zhao Changpeng)CEO(最高経営責任者)に直接売却を投げかけていたと述べている。

売却話のとん挫はフォビと中国とのつながりが原因か

今回の売却話にバイナンスが興味を示さないのは、フォビの中国本土とのつながりをめぐるうわさに起因すると言われており、バイナンスはこのうわさ回避を目指しているとみられている。

2023年3月に行われたCoinDesk TVのインタビューの中で、サン氏はフォビが香港でライセンスを確保し、そこにフォビ・ホンコン(Huobi Hong Kong)という新しい取引所を設立しようとしていることに言及している。しかし、サン氏とフォビの関係詳細は謎に包まれており、2022年10月にアバウトキャピタルという会社がフォビを買収し、サン氏の代理人はAboutとの関係を否定しているものの、フォビが2023年1月にサン氏がフォビで指導的立場にあることを確認している。

バイナンスは、サン氏がフォビ株式の過半数を保有していると考えていると言われており、ジャオCEOへの提案は、この1週間以内にサン氏によって行われたとのことである。しかし、サン氏は、この話が出た後のツイートで、フォビ購入に関して同CEOに提案したことも、前週に取引所について話し合ったこともないと反論し、サン氏はTwitterを通じて次のように主張している。

ここ1週間ほどで、私はCZ氏にフォビ・グローバルの購入に関するオファーを提案していないし、ここ1週間ほどでフォビについて議論したことさえないことを指摘しなければならない。

これにより、サン氏は、フォビとその顧客に対するコミットメントを繰り返し、その所有権を変更する意図がないことを取引所のユーザーに安心させたとのこと。

バイナンス側はノーコメント

バイナンス広報担当者は、今回の買収持ちかけの件についてコメントすることはないと述べている。

一連の情報がメディアなどによって報じられると、CoinDeskのデータによると、トロン(TRX)価格は過去24時間で最安値にまで下落したとのこと。実際、TRXトークンとフォビトークンは、いずれも連日安値を更新している。

バイナンスへの売却オファーがうわさされているニュースは、Bloombergが4月1日に、サン氏がフォビ株式を売却するための協議を行ったと報じた数日後のことだ。サン氏はうわさについて「エイプリルフールのイタズラ」と一蹴。フォビの所有権については、サン氏が取引所を所有していないことを強調している。