オーストラリア証券取引所が200人の従業員解雇へ
ASX(Australian Stock Exchange:オーストラリア証券取引所)は、主要取引プラットフォームをブロックチェーン技術に置き換えるプロジェクトを中止した後、それに従事していた最大200人の契約社員を削減することが明らかになった。
ASXは、大幅に遅延していたCHESS(決済機関電子登録システム)のブロックチェーンシステムへのリプレースをキャンセル。ASXは、決定はソリューションの不確実性を考慮して行われ、損失は2億5,000万オーストラリアドル(約230億円)にのぼると明かしたとのこと。
2016年に数十年来のプラットフォームをブロックチェーンとも呼ばれる分散型台帳技術に置き換える計画を発表した後、世界13位の証券取引所となったASXは、問題だらけであることを示す独立報告書を理由にこのプロジェクトを撤回している。
従業員削減はCHESSのリプレースキャンセルとコロナパンデミック
ASXは数カ月前、仮想通貨を支える概念と同じブロックチェーン技術を利用した最も注目される事例の1つであるオーバーホールの完了時期を20カ月遅らせ、2024年後半としていた。
ASXは2017年12月にCHESSをブロックチェーンシステムにリプレースすると発表し、当初は2020年第1四半期までに運用を開始する予定であった。しかし、運用開始は2021年8月に延期されたのち、さらに2022年まで再度延期され、ASXは遅延の原因として、新型コロナウイルス感染拡大による混乱をあげている。プロジェクトが中止したことで、同プロジェクトに従事していた合計約300人の従業員の大部分を解雇することを決定。広報担当者によると、中止したプロジェクトの3分の1が正社員、3分の2が契約社員やコンサルタントだったと述べており、正社員は会社に残るが、現在作業が中断している、あるいは完了する予定のコンサルタントや請負業者は、これに合わせてプロジェクトから外れることになるとのこと。
また、ASXはプロジェクトの見直しや会社での他の役割に取り組むため、分解検査に関わった一部の請負業者を残していると、広報担当者は述べている。一方で、今回のプロジェクトの中止はオーストラリアの中央銀行と金融規制当局から批判を招いたが、ブロックチェーンベースのシステムがピーク時のキャパシティに対応できることを確認するために遅延は不可避だったとASXは主張している。