ウラジミール・プーチン大統領:銀行のない国際デジタル決済システムを提案

国際取引に最新デジタル決済システムが必要

ロシアの現ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、国際取引には最新のデジタル決済システムが必要であるという見解を示していることが明らかになった。

プーチン大統領は、デジタルマネーと分散型台帳に基づく技術を使った国際取引が、将来的にはるかに容易になることを確信しており、銀行のない国際デジタル決済システムを提案しているとのこと。同大統領は4カ月前にロシアでデジタル資産の決済を公式に禁止して以来、ロシアでは大統領が署名した法律により、商品、サービス、製品の支払い方法としてデジタル証券やユーティリティ・トークンの使用が違法とされている。この規定は、2020年に策定されたデジタル資産に関する法律に導入され、ロシアで仮想通貨を支払い方法として使用することは違法であるとの見解を示しているものである。

高まる国境を越えた仮想通貨決済の合法化

最近プーチン大統領は、国際決済やロシアと他国との間の財源の流れが危機に瀕していることを明らかにしており、その最大の理由は、欧米諸国とロシア間に敵意が高まっていることを指摘している。

これらの事実を受けて同大統領は、同国最大の商業銀行であるスベルバンク(Sberbank:ロシア貯蓄銀行)が開催したAI(人工知能)をテーマとした会議の中で、ロシアの仮想通貨ルールを審議。国境を越えた仮想通貨決済の合法性を支持する声が高まっているとして、プーチン大統領は次のように語っている。

今日の違法な規制の下では、攻撃のラインの1つが決済によるものであることを、私たちはよく知っています。そして、私たちの金融機関は、このような行為にさらされているため、誰よりもこのことをよく知っているのです。

実際、プーチン氏が語ったように、より便利で、同時に参加者にとって完全に安全で、銀行や外国からの干渉から完全独立した国際決済の新システムを構築することは可能であり、デジタル通貨と分散型台帳の技術に基づくものとの予想もある。

脱制裁手段としての仮想通貨利用

ロシア財務省は仮想通貨を用いた活動の禁止を提唱してきたロシア銀行 https://abr.ru/ (Russia Bank)の立場とは全く対照的であり、今年に入り、同国がウクライナ侵攻に伴い課された制裁を逃れる手段として仮想通貨を利用したとの疑惑が浮上している。

その証拠に、11月3日に同国の国会議員は、当NEXTMONEYの11月25日付特集記事「ロシアが国内仮想通貨取引所の立ち上げか」で報じたように、国家的な仮想通貨取引所を構築するための法案を作成中と発言。財務省もロシア中央銀行もこのイニシアチブを支持する方向であることが明言されているとのこと。

また、下院経済政策委員会のセルゲイ・アルトホフ(Sergey Altuhov)委員は、仮想通貨の存在を否定することは意味がなく、むしろ問題は国家によってチェックされずに広い範囲で流通していることだとして、今回の措置の財政的合理性を強調している。同会議には、産業規制組織である財務省や中央銀行の関係者が出席していないことが重要であり、実際にこれらの政策が実行されるかは明らかになっていない。今後は、まず市場の現状を踏まえた文書を作成することになるとみられており、その文書を政府やロシア中銀に提出し、本格的な議論が行われることになる。

ロシアが国内仮想通貨取引所の立ち上げか

2022.11.25