OECD、デジタル資産を利用した国際的な脱税に対抗するための枠組みを発表

OECDがデジタル資産を介した国際的脱税に対抗する枠組みを発表

OECD(Organisation for Economic Cooperation and Development=経済協力開発機構)は、10月12(水曜日)~13日(木曜日)に開催されるG20財務相・中央銀行総裁会議において、仮想通貨報告フレームワークを提示する予定であると発表したことが明らかになった。

OECDは、税務当局が仮想通貨取引とその背後にいるユーザーについて、より高い可視性を達成することを目的としたフレームワークを発表。仮想通貨税フレームワークは、規制されていない取引所やウォレットプロバイダーが増加していることから、毎年、管轄区域間で仮想通貨取引関連情報を自動的に交換することを提案したものとのこと。OECDによると、仮想通貨トランザクションが同グループとG20のCRS(Common Reporting Standard=共通報告基準)(※1)に該当しないため、透明性に欠け、脱税に利用される可能性が高まるとの見解を示しているとのこと。

(※1)CRS(Common Reporting Standard=共通報告基準)とは…
2014年、金融機関等を利用した国際的脱税や租税回避を防ぐため、OECD(経済協力開発機構)によって開発された、税務当局間グローバルレベルの金融口座に関する情報の自動交換に関する国際情報標準の事。

新仮想通貨報告フレームワークと共通報告基準改正で税の透明性向上へ

この枠組みは、支払いまたは投資目的に使用できない資産と、CRS下で既に報告が義務付けられている資産のための、カーブアウトを含むことも明らかになっており、OECD事務総長のマティアス・コーマン(Mathias Cormann)氏は次のように語っている。

新しい仮想通貨報告フレームワークと共通報告基準の改正を発表することにより、税の透明性アーキテクチャが最新かつ効果的であることが保証されます。CARFは、仮想通貨的に安全な分散型台帳や同様の技術に依存し、取引の検証や安全性を確保するあらゆるデジタル価値表現を対象とします。

実際、2021年4月のG20からの指令の結果として開発されたCARF(Crypto-Asset Reporting Framework=暗号資産報告フレームワーク)は、仮想通貨の種類だけでなく、デジタル資産の取引の種類、仲介者またはサービスプロバイダーを介してかについても報告を要求している。8月にOECDは、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)を報告範囲に含めることを含むCRSの改正を承認している。

この枠組みが承認されれば、米国、日本、韓国、欧州の多くの国々を含むOECD加盟38カ国間の仮想通貨取引に関する情報共有が促進されると予想されている。

仮想通貨が世界中で急速に普及するにつれ、銀行などの伝統的な金融仲介機関を介さずに送金や保有ができることから、仮想通貨取引所やウォレットプロバイダーなどの新しい仲介機関が台頭してきたが、その多くは規制されていないままとなっているのが現状だ。