eToroのSPAC合併が撤回される
仮想通貨や株式などの取引サービスを提供するeToro(イートロ)は、SPAC(※特別買収目的会社)の「FinTech Acquisition Corp. V(FTCUV)」と合併してナスダックへの上場計画を撤回したことが明らかになった。
両社共同で発表されたプレスリリースによると、6月30日(木曜日)までに取引を完了するという期限が守れないため、eToroは最近、FinTech VとのSPAC契約を解除したとのこと。eToroの合併案は、2021年3月に初めて発表され、この提案により、同社は100億ドル(約1兆3,536億円)の評価額を獲得し、株式市場への上場を果たすことを予定していたとのこと。
SPACとは「Special Purpose Acquisition Company」の略であり、事業を持たずに未上場企業の買収を行うことを目的とする企業を指し、先にSPACが上場し、その後にターゲットとなる企業を買収することで、買収された企業が上場を果たす仕組みとなっている。この提案では、特別目的買収会社であるFinTech VがeToroを買収することになっていたが、さまざまな条件が満たされず、特にeToroの登録届出に関する条件が満たされなかったため、両社は、6月30日の期限までに取引完了ができなかったとのこと。今回の件でeToroの共同創業者兼CEOであるヨニ・アシア(Yoni Assia)氏は次のように語っている。
今回のSPAC契約解除は私たちが望んだ結果ではありません。しかし、同社の基本的なビジネスは健全なままであり、強固なバランスシートと270万件のファンディングされた口座を保有しています。
仮想通貨取引サポートを増やし続けるeToro
SPAC合併に失敗したeToroは現在でも仮想通貨取引のサポートを増やし続けており、最近では、セラム(Serum/SRM)、Ampトークン(Amp Token/AMP)、マイ・ネイバー・アリス(My Neighbor Alice/ALICE)の3つの新しいアルトコインのリスティングを追加している。
株式取引プラットフォームとして誕生したeToroは、2014年に一部の地域で仮想通貨取引の提供を開始しており、その後、仮想通貨取引機能を他の国にも拡大。最近では2022年6月にフランスで仮想通貨のサポートを開始している。一方で、eToroは仮想通貨のエコシステムにも積極的に出資しており、4月にeToroは、NFT(非代替性トークン)のクリエイターを支援するために2,000万ドル(約27億円)のプログラムを立ち上げたほか、2021年末には、GoodDollar Universal Basic Incomeプロジェクトに100万ドルを投資している。