シンガポール規制当局がBinanceを警告リストに
シンガポールの金融規制当局(MAS)は、Binanceが国内で支払いサービスを提供するためのライセンスがないことを理由に、投資家に向けた警告リストに追加した事を発表した。
世界の最新金融ニュースを配信するBloombergの報道によると、シンガポール金融管理局は、Binanceは国の居住者に支払いサービスを提供するライセンスがないと述べた。金融規制当局によると、同取引所は決済サービス法に違反している可能性がある。そのため同規制当局は、ウェブサイトに従い、投資家アラートリスト「Investor AlertList」にBinanceを追加した。このリストを公表する目的は、支払いサービスを提供するライセンスを持たない企業に対して居住者に警告することである。
規制当局禁止リスト入りはBinance.comのみ
Binanceは現在、取引量で世界最大の仮想通貨取引所で、同社は世界中の国々でサービスを提供している。今後Binanceは、シンガポール国内の居住者に違反を理由に、サービス提供ができなくなるほか、ビジネス勧誘につながる動きをやめなければならない、と報じられている。
金融規制当局が会社に圧力をかけたのはこれが初めてではなく、過去数カ月にわたり、複数の規制当局によって、規制の懸念を理由に、取引所を取り締まっている。現段階でBinanceに警告している国には、日本、英国、イタリア、香港、マレーシアなどがあり、これらの規制上の課題に応えてBinanceは当局と協力して適切なライセンスを取得すると発表している。また、規制に準拠するため、Binanceはさまざまな地域におけるサービスに多くの変更を加え、ストックトークンの廃止も実施された。
BinanceAsia Services PTE Ltdと呼ばれるシンガポール登録部門
BinanceにはBinanceAsia Services PTE Ltdと呼ばれるシンガポール登録部門がある。
Binanceはいくつかの国でさまざまな子会社を運営しており、Binance.comとはまったく異なる法的地位を持っている可能性があり、シンガポールにあるBinanceローカル部門は、すでにMASに登録されており、Binance.sg取引プラットフォームを運営している。MASの記録によると、Binance Asiaは、規制当局が申請を審査している間、ライセンスなしでシンガポールで取引所を運営することを一時的に免除されているが、同じ免除はグローバル取引所であるBinance.comには適用されない。
一部のシンガポール人は、Binance.sgで現地通貨(SGD)を使用して仮想通貨を購入し、取引のためにグローバルプラットフォームに送信したと報告しているが、そのような活動はシンガポールの法律に触れる可能性がある。規制当局との継続的な争いの中で、Binanceのジャオ・チャンポン(趙長鵬:Changpeng Zhao)CEOは、Binanceが規制対象の金融機関になる意向を表明した。最近、Binanceは規制当局に準拠するべく、新規ユーザーに必須事項としてKYC要件を導入したほか、コンプライアンス担当者を増員するなど、複数の変更を加え、目に見える改善努力がうかがえるが、これらの努力にもかかわらず、Binanceに対する規制上の問題は現在も続いている。