エルサルバドルの信用が格下げされる
米国の信用格付け機関であるフィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)は、エルサルバドルのIDR(Issuer Default Rating=長期外貨発行者デフォルト格付け)を「B-」から「CCC」に格下げしたことを明らかにした。
フィッチは格下げの理由について、大統領職への権力の集中の高まり、制度の弱体化、およびランクを下げる理由としてのビットコインの合法化と採用に起因する政策の予測不可能性を挙げている。同社の公式発表によると、短期債務への依存度の高まりから生じる「高められた」資金調達リスクは、エルサルバドルを格下げするフィッチの動きを反映。また、国内市場の資金調達の範囲が限られていること、および高借入コストを考慮した追加の多国間資金調達と外部市場の資金調達へのアクセスが不確実であることも指摘し、次のように述べている。
制度の弱体化と大統領職への権力の集中は政策の予測不可能性を高め、法定通貨としてのビットコイン採用は、2022年から2023年の資金調達を解き放つIMF(国際通貨基金)プログラムの可能性についての不確実性を追加しました。
エルサルバドルはリスクの増大に直面か
フィッチは、エルサルバドルは2022年から2023年にかけて、資金需要の高まりと増大によって引き起こされるリスクの増大に直面し続けていると述べている。
また、中央アメリカの国の総資金需要について、2022年には合計48.5億ドル(約5,630億円)に達すると推定されており、この推定はGDPが16%増加することを意味する。現地市場での資金調達オプションに関して、同社は、国内の民間年金基金および銀行は、そのような商品へのエクスポージャーを拡大する意欲が制限されていると指摘。エルサルバドルが「ビットコインで裏付けられた債券」を発行する能力に加え、多国間資金調達を含む外部資金調達オプションに関する「不確実性」、およびIMFプログラムに対する疑問も観察しているとのこと。
エルサルバドルの野心的なビットコイン債発行計画
今週初め、エルサルバドルのアレハンドロ・セラヤ(Alejandro Zelaya)財務相は、3月15日から20日の間にビットコインボンドを発行する計画を発表した。
Frente a Frente TCS「FRENTE A FRENTE 08 FEBRERO 2022」より動画引用
地元報道機関によるインタビューでゼラヤ財務相は、政府が最初のボンドに10億ドル(約1,161億円)を発行することを確認。そのうえで、仮想通貨のP2P(ピアツーピア)プラットフォームのPaxfulによって同国内でビットコイン教育センターを立ち上げており、新教育センター設立の背景には、エルサルバドールとの交換手段としてビットコイン(Bitcoin/BTC)を売買することの利点についての認識を育むことだという。