中国政府がメタバース商標出願の拒絶を開始

中国政府がメタバース関連商標出願を拒否

中国政府は、2021年以降複数企業によるさまざまなメタバース関連の商標出願申請がなされてきていたが、ここにきて拒否し始めた事が現地メディアの報道で分かった。

ビジネスおよび商標登録追跡会社Tianyancha(天眼査)からの最新データによると、中国語でメタバースを意味する「元宇宙」および、マンダリンで「元禹州」という単語を含む複数の商標出願は、SIPO(State Intellectual Property Office=国家知識産権局)によって登録を拒否されているとのこと。登録拒否されたのは、ビデオゲーム大手のNetEase(網易)、ストリーミングビデオプロバイダーのiQiyi(愛奇艺)、ソーシャルコマースプラットフォームのオペレーターであるXiaohongshu(小紅書)による出願であったとのこと。なお、中国の事業登録追跡プラットフォームQichacha(企査査)の情報によると、アリババ(Alibaba Group)、テンセント(Tencent Holdings=腾讯)、ByteDance(字節跳動=バイトダンス)などによって提出された申請は、規制当局による審査待ちとのこと。

中国政府はメタバースを取り巻く経済効果に注目か

中国の知的財産(IP)規制当局によって行われた今回のメタバース商標出願措置は、メタバース関連のアプリケーションの急増に対処する一方で、商標の不法占拠や消費者の誤解を防ぐための慎重な戦略を示しているとのこと。

却下された申請書の2回目の審査手続きは、完了するまでに6~8カ月かかる可能性があり、1月24日(月曜日)の時点で、約153件が拒否されたとのこと。中国政府は、2021年以降、多くの企業による驚異的な申請書提出ペースにより、当局が登録プロセスの乱用を防ぐために動いているとみら、さまざまなメタバース関連の商標出願を拒否し始めている。

多くの人がメタバースをインターネットの次の段階と考えており、“メタバース”という新単語は、米国作家ニール・スティーブンソン(Neal Stephenson)氏が1992年のSF小説「Snow Crash(スノウクラッシュ)」のために造られた単語で、バーチャルリアリティヘッドセット、ビデオゲームコンソール、ガジェットなどのデバイスを使用して、人々が会い、仕事をし、遊べる、リアルで没入型の仮想世界を指している。

メタバース関連のアプリケーションが拒否されたことは、中国当局がこの概念の潜在的な経済効果とテクノロジー業界におけるそれを取り巻く誇大宣伝とのバランスをとろうとしていることを示唆しており、IP調査会社PatSnapのチェン・ガオジエ(Chen Gaojie)氏は次のように語っている。

私が見ているのは、政府が企業に真の技術的能力を備えたメタバース分野への参入を奨励していることです。メタバースには、人工知能やブロックチェーンなど、多くのコア最先端テクノロジーが含まれています。