タイム誌がイーロン・マスクを2021年の人物に選出も理由は仮想通貨ではない

イーロン・マスク氏がタイム誌の2021年の顔に

米国・ニューヨークのニュースマガジンおよびニュースウェブサイトであるタイム誌は、テスラ(Tesla)とスペースX(SpaceX)のCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク(Elon Musk)氏を2021年の人物に選出したことが明らかになった。

仮想通貨シバイヌ(SHIBA INU/SHIB)やドージコイン(Dogecoin/DOGE)などのコミュニティへの過度の影響力で批判されているマスク氏であるが、スペースXの創設者、CEO、CTO(最高技術責任者)、テスラの共同創設者、および会長という肩書を持っている。同誌はマスク氏について次のようにコメントしている。

数年前、マスク氏は破産寸前の狂った詐欺師として嘲笑されていました。しかし今では、この恥ずかしがり屋の南アフリカ人は、アスペルガー症候群という個人的な悲劇を克服し、政府と業界を牽引する人物に成長しました。

実際、テスラ、スペースX、PayPalの創設者であるマスク氏は、間違いなく歴史上最も熟練したイノベーターの1人であり、テスラで電気自動車業界をスタートすると同時に、スペースXで宇宙への第一歩を踏み出すなど活動の幅広さでも注目を集めている。さまざまな情報やデータを提供しているExperian Automotiveの調査によると、電気自動車は2021年上半期に米国で稼働している全車両の0.43%ほどを占めていたが、テスラはその市場の約3分の2を占めているという。

また、スペースXは今年の4月にNASAから、1972年以来初めて米国の宇宙飛行士を月に乗せる独占契約を交わすなど、驚くべき偉業を達成している。マスク氏は、独自のメタバースおよびAIプロジェクトに多大な資本を投入した、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏およびピーター・ティール(Peter Thiel)氏とも密接な関係があり、仮想通貨およびブロックチェーンの世界にも大きな影響力を持っている。その証拠に、マスク氏が自身のツイッター上でミームコインであるSHIBについて呟くたびに、通貨は大きな価格の上昇を見せるなど、その発言には注目が集まっている。しかし、仮想通貨の分野でマスク氏は、会社で有名になる前から物議を醸している人物でありながら、今回の選出理由に仮想通貨関連の出来事は含まれていない。

その一方で、現在、純資産が2,650億ドル(約30兆1,213億円)を超える、世界で最も裕福な人物であるにもかかわらず、マスク氏が仮想通貨に投資をしたことを示すブロックチェーンの証拠はこれまでに明らかにされていない。そのため、マスク氏は現状では仮想通貨業界に深く関わっているわけではないが、今後、何らかの形で業界の発展に大きく貢献する人物であると予想されている。