イングランド銀行と大蔵省がCBDCの次のステップを発表

イングランド銀行がCBDC開発の次ステップを発表

イングランド銀行(Bank of England)とHMT(Her Majesty’s Treasury=英国大蔵省)は、英国CBDC(中央銀行の発行するデジタル通貨)の開発における次のステップを発表したことが明らかになった。

次のステップの協議は2022年に行われる予定で、英国CBDCのケースを設定し、主要問題を評価。考えられる設計上の特徴を検討することを目的としているとのこと。また、これらのステップが良好であった場合、CBDCの概念アーキテクチャ(構造)を説明する技術仕様の確認や、CBDCの設計テストなど、次のステップに移行する可能性があるという。

イングランド銀行とHMTは2021年4月、CBDCの可能性を追求する共同タスクフォース設立を発表しており、イングランド銀行のジョン・カンリフ(Jon Cunliffe)副総裁と、HMTのキャサリン・ブラディック(Katharine Braddick)金融サービス局長が議長を務めている。同タスクフォースでは、CBDC導入目的や活用事例、機会、リスクの検証に向けた調整、目標達成のために必要なCBDCの設計、活用事例に関する、厳密かつ一貫性のある包括的な評価支援などが含まれている。現段階では、英国CBDC開発が順調に進んだ場合、2020年代後半にもリリースされる可能性があるという。

英国CBDCは10年後か

イングランド銀行はCBDCリリースについて決定事項であるとの見解は示しておらず、今後幅広い利害関係者とメリット、リスク、実現性などについて議論していくことになりそうだ。

さらに、同銀行は将来CBDCがどのような形で導入されるのかについて、現金や銀行預金に取って代わるのではなく、それらと一緒に共存することを目的としている。開発フェーズの結果が、運用上および技術的に堅牢(けんろう)であると結論付けた場合、英国CBDCの最も早い発売は10年後以降になるとしたうえで、財務省のジョン・グレン(John Glen)経済長官は次のように述べている。

この協議は、英国の中央銀行デジタル通貨が英国で果たす可能性のある役割についてのオープンな議論を開始します。私は、これがもたらす可能性のある機会を探求し、それがもたらす可能性のあるリスクを理解できるように、すべての人が議論に貢献することをお勧めします

CBDCは中央当局によって発行される通貨であるため、必ずしも現金のように匿名性が担保されるわけではなく、完全に現金に取って代わるには課題も多い。一方で、世界の多くの国はまだCBDCの立ち上げには至っておらず、中国のデジタル人民元の展開は複数地域でテストが続けられており、中人民銀行は2021年10月の時点で1億4,000万件を超える個人口座がデジタル通貨を保有していると報告している。

実際、イギリスの他にもCBDCの可能性を模索している国は多くあり、CBDCを検討または開始している他国には、米国、ナイジェリア、カナダ、ガーナなどがあり熾烈(しれつ)なCBDC開発競争が行われている。