メリーランド州の夫婦が核情報販売で逮捕
メリーランド州の米海軍省の原子力技術者とその妻が、米国の軍事機密である核情報を仮想通貨モネロ(XMR)を決済手段に販売しようとしたとして逮捕されたことが明らかになった。
FBI(米連邦捜査局)が8日提出した訴状によると、二人は米原子力潜水艦に関するデータを繰り返し売り渡そうとしたことで、隣接するウェストバージニア州でFBIと海軍捜査局(NCIS)によって逮捕した。容疑者らは、「この情報は貴殿の国にとって大きな価値があると私は信じています。これはデマではありません。」メッセージを送信したうえで、米国の原子力潜水艦の機密データを売ることを申し出ることで外国政府にXMRを要求。はじめにサンプルデータを送ることで10,000ドル(約110万円)を受け取り、次により多くのデータが入ったSDカードと引き換えに70,000ドル(約800万円)相当のXMRを受け取っていた。
最終的に2容疑者は、おとり捜査官がデータを受け取ったことで潜水艦の原子炉に関する機密データが販売されていたことが発覚し、逮捕された。夫婦は逮捕前に合計10万ドル(約1,100万円)相当のXMRを受け取っていたことが明らかになっており、匿名通貨の問題点が改めて浮き彫りになった形だ。
モネロのメリットとデメリット
米連邦裁判所のメリックB.ガーランド司法長官は今回の逮捕劇について、次のように語っている。
訴状は、原子力潜水艦の設計に関する情報を海外に送信する計画を立てていたとされており、ウェストバージニア州マーティンズバーグの連邦裁判所に出廷を求める。
仮想通貨XMRは代表的な匿名通貨として知られ、通貨の送金者や受金者データ、ブロックチェーンデータが匿名になることから犯罪に利用されたと考えられている。匿名通貨が犯罪へ利用されることについてはかねてより問題視されており、いくつかの仮想通貨取引所は、すでに上場済みの匿名通貨の上場を廃止している。その反面、XMRはプライバシー保護に優れた通貨というメリットがあることや、ビットコインの5分の1の送金時間で送金することが可能であるなどの良い特徴も持っている。
米国の大統領執務室は、ランサムウェア攻撃に対抗するため、仮想通貨制裁の準備を発表していると報告されていたが、仮想通貨とブロックチェーン技術は、犯罪におけるそれらの役割にもかかわらず、米国で禁止されることはないという。CipherTraceの最新データによると、仮想通貨関連の犯罪は2019年の45億ドル(約5,103億円)だったのに対し、2020年には19億ドル(約2,154)と、57%減少している。