米国裁判所、納税者に関する情報を求めてKrakenの顧客データへのIRSアクセスを承認

IRSがKrakenの顧客データーへのIRSアクセスを承認

米国・カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所は5月6日(木曜日)、IRS(米国内国歳入庁)に、仮想通貨取引所Kraken(クラーケン)の親会社であるPayward VenturesIncの顧客データへのIRSアクセスを承認したことが明らかになった。

2021年5月6日、米国連邦裁判所は仮想通貨取引所Krakenに対して、2016年から2020年に大規模な取引を行ったユーザーに関する情報をIRSに提供するよう命じた。5月5日(水曜日)付けのプレスリリースによると、IRSはいわゆるohn Doe召喚(※1)でクラーケンに顧客データを要求しており、IRSは、指定された期間中に年間20,000ドルを超える取引を行ったクライアントのデータに関心を持っているとのことだ。

John Doe召喚とは、内国歳入法セクション7609(f)によって承認されたIRS召喚で、他のIRS召喚とは違い、納税者はIRSに知られていないため、調査中の納税者の名前は表示されないシステムとなっている。

というのも、IRSは一部のKrakenユーザーが脱税したことを示唆しており、裁判所によって承認された召喚状によって、Kraken取引所の条件に該当する全てクライアントに関する情報を入手することを求めているとみられる。John Doe召喚はスイスの銀行秘密法と戦うために使用されたもので、2008年UBS銀行は、スイスの銀行口座の約4,500人の保有者名をIRSに引き渡している。IRSコミッショナーのチャック・レッティング氏は次のように語った。

納税者が仮想通貨の収入を隠しているという主張をしているわけではありません。この議題は、報告を回避しようとしているが公正な税金を支払っていない人々を特定するための私たちの取り組みの一部です。

IRSガイダンスでは、法定通貨に変換できる仮想通貨は税務上の財産と見なされるため、売却または交換による利益または損失に応じて課税される可能性があると規定されている。実際、裁判所は、IRSが2016年、Coinbaseのクライアントのデータにアクセスすることを許可し、Coinbaseがこれに対して訴訟を起こす事態に発展している。今回も2016年と同様に裁判所はKrakenの顧客データへのアクセスをIRSに許可したことになり、今後、Krakenの仮想通貨納税者のデータが引き渡されることになるとみられる。