CanaanがCathayとパートナーシップ提携=エッジAIチップ提供を日本に拡大へ

マイニング機器メーカーCanaanがAIチップを日本に

世界第2位のビットコインマイニング機器メーカーで広く知られる北京を拠点とするハードウェアおよびチップデザイナーのCanaan(カナン)は、Cathay Tri-Tech(キャセイトライテック、※以下、キャセイと表記)と提携し、現在日本市場にてAI顔認識技術を販売している。

CanaanのAI顔認識モジュールは、顔認識や画像認識などのマシンビジョンタスクを処理するために設計された、社内開発のKendryte K210AIチップを使用している。日本のThineElectronics(ザインエレクトロニクス)の子会社であるキャセイは、M2M通信(※1)などのIoTアプリケーション向けのソフトウェアおよび製品の設計者および開発者だ。キャセイは、両社がエッジAIソリューションの市場での足跡を拡大しようとしているため、既存のIoT製品ラインと一緒にCanaan製品を販売している。
(※1)M2M(Machine to Machine)通信とは、機器同士が直接ネットワークで接続し合い、相互に情報交換をしてさまざまな制御を自動的に行う仕組みなどを指す

さまざまな場所へ顔認証技術拡大を目指す

Canaanは、Kendryte製品が、自動販売機、スマートアクセス制御、スマートドアロック、エレベータ制御システムなどのアプリケーションで顔認識を可能にすることを期待している。

同社の幹部は、Kendryte K210 AIチップとAI顔認識モジュールが、キャセイが販売するAI製品の最初のエッジコンピューティングシリーズになると述べ、キャセイは、パートナーシップの一環として、EVB評価ボード、SDK、およびリファレンス回路設計を提供すると述べている。

Canaanは2019年にナスダックに公開され、ビットコインマイニングで使用されるサーバーを提供し、AIチップソリューションを顧客に販売している企業である。2020年に同社は、6,860万ドル(約74億円)の収益を上げ、1,100万ドル(約12億円)の純損失を出している。現在大量生産されているケンドライトチップは、資本集約的で不安定なビットコインマイニング市場に対するヘッジと言える。なお、同社は、2021年後半に追加のAIチップを提供する予定とのこと。