イタリア銀行協会、デジタルユーロ実証実験を開始
700を超えるイタリアの銀行機関で構成されるイタリア銀行協会(ItalianBanking Association=ABI)は、「デジタルユーロ」を作成するメリットを検討するための実験段階を開始したことが分かった。今回の実証実験は、リサーチ部門であるABIラボと協力して実施される。
イタリア銀行協会は6月、銀行間決済を目的としたデジタルユーロを試験運用する計画を発表していた。また今回の発表を受けた業界団体は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)のプロジェクトや試験への参加に意欲的な姿勢を見せている。
実証実験の目的としては、イタリアで事業を行う銀行が将来のシナリオに備えやすくすることや、分散型元帳テクノロジー(DLT)ブロックチェーンに基づくデジタルユーロの技術的実現可能性を実証すること、プライバシー保護などの要件を満たしているかを確認するためとのことだ。また、実証実験は二つのカテゴリーで行われ、一つ目はインフラストラクチャと流通のモデルの技術的な実現性を実験。二つ目は、デジタルユーロをすでに存在した電子決済と区別することができるかという実験である。
ユーロ圏で加速するデジタル通貨の実証実験
イタリアではすでに「Project Spunta」という、銀行間決済におけるミスマッチの解消を目的にしたプロジェクトが実施されており、Cordaブロックチェーンを利用した自動照合が実施されている。また、この「Project Spunta」を開発したNTTデータや、コンサルティング企業PwC、テクノロジー企業Replyも今回のデジタルユーロ実験に参加している。
その一方でドイツの財務大臣は、フェイスブックのLibra(リブラ)やJPMorganCoin(JPモルガン)などの個人発行のデジタル通貨を否定しており、EU各国の足並みは完全に揃っている訳ではないようだ。実際に、デジタルユーロの立ち上げは、ほぼ2年前から議論されているが、まだ市民のために統一された仮想通貨を立ち上げるには至っていない。
12月にECBの責任者が発言によれば、デジタルユーロのプロジェクトを本格的な立ち上げは、2021年半ばを予定しているが、国際的にCBDCが使われる場合、混乱を避けるためにもすぐに通貨を発行することはないとのことだ。
記事参照:イタリア銀行協会(ABI)