英国で新デジタル銀行が2020年スタート|仮想通貨・法定通貨に対応
英国のデジタル銀行「スターリング・バンク」の共同設立者であり、同行の元最高技術責任者(CTO)でもあるマーク・ヒッパーソン氏が、仮想通貨と法定通貨の両方を取り扱うデジタル銀行「Ziglu(ジグル)」のサービス開始を2020年前半に予定している。フィンテックフューチャーが2日報じた。
Zigluは、口座内の通貨を自由に交換できるほか、外貨はインターバンクレートで両替可能だ。仮想通貨は複数の取引所から購入できる上、複数の取引所を比較した最適なレートで交換したりすることもできる。さらに、マスターカードのデビットカードを有している人は、デビットカードを使用して保有している法定通貨/仮想通貨を世界中で即座に使用できるという。
ヒッパーソン氏は、2018年9月からZigluの設立を計画していた。現在、英規制当局の金融行為規制機構(FCA)に電子マネー発行者のライセンスの申請中。公式サイトでは、事前登録の受付を開始しているが、Zigluのサービス対象者は18歳以上の英国居住者のみとしている。ヒッパーソン氏は、Ziglu設立の意義を以下のように語っている。
「私たちは、地理的および技術的な全ての通貨障壁を打破するアカウントを構築し、それを使ってやりたいことを完全に管理できるようになった。現在は英国居住者のみが当社のサービスを使用できるが、今後は他国にも提供を拡大する予定だ。」
銀行の仮想通貨市場への参入
世界各国の主要な銀行は依然として仮想通貨に対して慎重な姿勢を見せているが、英国では、大手銀行がデジタル銀行への参入を加速させている。
ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)傘下のナットウエスト銀行は2019年11月、デジタル銀行「Bo」を始めたと発表。同行は、店舗を持たずにスマートフォンのアプリ上で出入金を管理でき、利用場所や分野別に分類できる。
新興デジタル銀のモンゾは17年に、フルサービスの銀行ライセンスを取得。蛍光ピンクのキャッシュカードを発行し、現在、口座数は300万を超えている。アプリ上で送金が簡単にでき、手数料はゼロ。海外で一定の買い物をしても手数料はかからず、2重引き落としなどのトラブルがあった場合でも、アプリ上のチャット機能で迅速に対応するなどの特徴がある。
イングランド銀行によると、英国では、現金決済の比率が10年前の6割から、18年には3割以下に低下。今後10年で、現金決済は1割近づくとの予想もある。英国では、デジタル銀が台頭し、伝統的な大手銀のユーザーを奪取していくのは時間の問題のようだ。