テザー・ビットフィネックス が訴訟を検討|価格操縦の疑惑は「偽の論文」が原因

テザー・ビットフィネックス が訴訟を検討|価格操縦の疑惑は「偽の論文」が原因

2019年10月5日、テザー社が新規にテザーを発行するたびに仮想通貨市場を操作しているとする誤った仮説に基づく未公開で非査読の論文の存在を知っていると、ビットフィネックステザー社はそれぞれ公式で発表した。発表の内容は企業名を変えただけでほぼ同一の内容となっている。

この論文が公開されると金銭目当ての根拠がない訴訟が起きるだろうとビットフィネックスとテザーは予測。あるいはすでに訴訟の準備をしているであろう対象者に向けて「こちら側にも戦う意思がある」という、牽制とも受け取れる発表となった。

論文に対する両社共通のコメント

おそらく論文を最後まで読んだであろうビットフィネックスとテザー側は、誤った仮説・チェリーピッキング(自分にとって都合の良いデータだけを抜き出すこと)・誤った方法論に基づいて作成されていると指摘。不誠実な方法で導き出された調査結果や結論に対して、大いに反論する姿勢を構えた。

さらに「このような根拠のない告発は、ビットフィネックスとテザーが担う重要な役割である『仮想通貨業界全体の成長と成功』を損なうものである」と述べ、「ビットフィネックス関係者だけでなく、何千人もの同量の仕事と献身に対する攻撃だ」と非難。

その上で、ビットフィネックスと関連企業は仮想通貨市場や価格操作のためにテザーを使用・発行したことはないと断言。全てのテザーは担保によって完全に保証され、市場の需要によってのみ発行・取引されていると改めて主張。なお今回の発表では、論文の抜粋や、論文の執筆者・研究団体名などは公表されていない。

2日前にも指摘されていた

実は10月3日にもブルームバーグが、ビットコインの価格変動とテザーの発行に関連性がある事を発表していた。

Tokenanalystの調査によれば、新規テザーが発行される日にはビットコインの価格が70%上昇するという。2019年5月から7月にかけてのビットコイン価格上昇の陰には、今年発行された20億ドルのUSDTが関係している可能性があるという。似た内容の主張は過去にも何度か起きているため特に目新しくはないが、時期が時期なだけに関連性が気になる。

新しい訴訟が起きるかもしれないが、同日、ビットフィネックスはEOSFinexと連携して500万ドル相当のテザーをEOSブロックチェーンプロトコルに変換するチェーンスワップの完了も発表している。どのブロックチェーンから移動したのかは不明だが、おそらくイーサリアムだと思われる。

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