北朝鮮、仮想通貨ハッキングの報道を否定
2019年9月1日、北朝鮮の国営通信社で国内最大の報道機関「朝鮮中央通信(KCNA)」は、北朝鮮が仮想通貨をハッキングにより不正入手しているという報道を否定した。この報道はKCNAWATCHが発表したもので、反マネーロンダリングと対テロ資金調達のための北朝鮮国内調整委員会のスポークスマンによって出された声明になる。内容によれば「北朝鮮という国家に支援されたサイバーアクターが、大量破壊兵器(WMD)プログラムの開発に必要な20億ドル(約2,125億円)をハッキングにより不正入手し、違法送金したと、米国や敵対勢力が不愉快な噂を広めている」としている。
これは、先月に国連が発表した報告書の内容や、米国サイバー指令局の発表を受けてのことだ。
「多くの偵察総局の指揮下で活動している大韓民国のサイバー攻撃者は、WMD(大量破壊兵器)プログラムの資金を調達し、これまでの総収益は最大20億米ドルと見積もられています。」(国連)
国連の発表によれば、17ヵ国で少なくとも35回サイバー攻撃が行われたという。以下のツイートでは、北朝鮮ハッカーと繋がりのあるマルウェア(悪意のあるソフトやコード)を公開したとの発表。
#CNMF has posted multiple new malware to @VirusTotal: https://t.co/fSgk1xpG8t
— USCYBERCOM Malware Alert (@CNMF_VirusAlert) August 14, 2019
さらに「この噂には科学的な根拠はなく、不当に私たち北朝鮮を非難している」「捏造された情報は、北朝鮮に対する制裁委員会の中間報告や、国連安全保障理事会にも反映されている」と述べている。
国連安全保障理事会は、2006年10月に北朝鮮が初めて地下核実験を行った後、対北朝鮮制裁を決議し、北朝鮮制裁委員会を設置した。さらに専門家パネルが制裁委員会の下部組織として置かれることに。この専門家パネルが、北朝鮮は経済制裁をかいくぐり、外貨を獲得するためにサイバー攻撃を行っていると報告。報告には、2017~2018年にかけて、仮想通貨取引所へハッキングを行い、推定合計5億ドル以上を不正に流出させたという内容もある。
コインチェックのハッキング事件にも関わっているとされる(ロシアのサイバーアクターでは?という意見もある)。
敵対勢力による捏造された情報は、ヒトラーのファシストによるプロパガンダ(政治的意図のある宣伝活動)のようであり、国家のイメージを傷つけ、北朝鮮に対する制裁と圧力への口実を探すための厄介なゲームに他ならないと非難。声明文の最後は以下のように締めくくられている。
「私たちはここに、私たちの国家の尊厳を損なう厚かましい行為を決して容認しないことを警告します。」