暗号資産市場の巨頭を全金融業界から排斥
米国ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ(Letitia James)司法長官は、破綻した暗号資産レンディング大手セルシウス・ネットワーク(Celsius Network)の創業者兼元CEO(最高経営責任者)、アレックス・マシンスキー(Alex Mashinsky)氏との民事詐欺訴訟において和解が成立したと発表した。
We’re barring Alex Mashinsky, the former CEO of Celsius, from the financial industry after he promised New Yorkers that his company was a secure place to invest their savings, only to leave them penniless. I won’t allow scammers to prey on unsuspecting New Yorkers.
— NY AG James (@NewYorkStateAG) October 9, 2026
私たちは、Celsiusの元CEOであるアレックス・マシンスキーを、金融業界から締め出します。彼はニューヨーカーに対して、自社が貯蓄を投資する安全な場所だと約束したにもかかわらず、彼らを一文無しにしました。
詐欺師が…
この合意により、同氏は暗号資産だけでなく、証券や商品=コモディティを含むあらゆる金融業界から永久に追放されることになる。
今回の措置は、2023年1月に同州が起こした提訴を決着させるもので、マシンスキー氏はセルシウスを「銀行よりも安全な選択肢」として宣伝し、最大17%という高利回りを提示して顧客を誘引していた。しかし裏では顧客の預託金で危険なハイリスク運用を重ねており、膨れ上がる巨額の損失を意図的に隠蔽(いんぺい)。ニューヨーク州の住民2万6,000人以上を含む数十万人の投資家を騙したと認定された。なかには不動産を担保に入れた住民や、10年近くかけた貯蓄3万6,000ドル(約570万円)を全額失った退役軍人など、深刻な被害が報告されている。
最大3,500万ドルの支払い義務と複雑な条件設定
和解条件では、マシンスキー氏に対して最大3,500万ドル(55.4億円)の支払いが科されており、この金額の履行には複数の条件が組み込まれている。
同氏はまず、連邦政府への司法取引で課された1,000万ドル(約15.8億円)の不正利得没収が履行されなかった場合、ニューヨーク州に対して2,500万ドル(約39.6億円)を支払わなければならない。さらに、連邦裁判所で言い渡された実刑判決の全期間を完服しなかった場合には、追加で1,000万ドルの支払いが義務付けられる。
すでに同氏は連邦刑事裁判において詐欺罪を認め、懲役12年の実刑判決および4,800万ドル(約76億円)以上の資産没収命令を受けて服役中だ。
多角化する規制当局の追及と破産処理の現状
今回のニューヨーク州との和解は、連邦機関による厳しい追及に続くものだ。CFTC(米国商品先物取引委員会)やFTC(米国連邦取引委員会)もすでに同氏に対する無期限の業務・取引禁止処分や制裁金を課しており、SEC(米国証券取引委員会)との民事訴訟も最終合意に向けた手続きが進んでいる。
一方でマシンスキー氏は現在も不服を申し立てており、服役中でありながら自ら弁護を行い、懲役12年の有罪判決および量刑の取り消しを求める法廷闘争を継続している。
なお、セルシウス本体は2022年7月に10億ドル(約1,583億円)を超える資産不足を抱えて破産申請を行いたが、手続きを通じて2026年8月までに34億ドル(約5,383億円)以上の資金が債権者へ分配・返還された。
なお、マシンスキー氏自身は破産手続きに伴う一切の分配受領権を放棄している。
























