ソニー銀行がOCC米通貨監督庁から条件付き承認を取得
ソニーグループの金融部門を担うソニー銀行が、OCC(米通貨監督庁)から条件付き承認を取得したことが分かった。
ソニー銀行は、‘米国におけるデジタル資産事業の基盤構築に向けて大きな一歩を踏み出した。同行は2026年7月2日(木曜日)、米ドル建てステーブルコインの発行・管理を目的とした新会社「Connectia Trust, National Association(コネクティア・トラスト)」の設立について、OCC(米国通貨監督庁)から条件付きの予備承認を取得したと発表。
ソニー銀行が100%出資するこの新会社はニューヨークに拠点を置き、4,000万ドル(約64.7億円)の資本金で今月中に設立される予定だ。本格的な事業開始は2027年を見込んでいるものの、ステーブルコインの発行を含む実際の業務運営は、OCCからの最終承認をはじめとするすべての規制手続きが完了するまで開始されない見通しだ。
ソニー経済圏での決済活用とデジタル戦略
ソニー銀行が描くステーブルコインの主たる目的は、自社グループが持つ膨大なデジタルエンターテインメントのエコシステムにおける決済効率の向上だ。
具体的には、「PlayStation(プレイステーション)」でのゲーム購入やアニメ配信サービス「Crunchyroll(クランチロール)」といったプラットフォームにおいて、米国ユーザー向けに決済手段として導入することを視野に入れている。これにより、従来のクレジットカード決済で発生していた手数料を大幅に削減することを目指している。
この取り組みは、同社がこれまで進めてきたWeb3戦略の延長線上にある。ソニーは2025年初頭にイーサリアム(Ethereum)のレイヤー2ネットワーク「Soneium(ソニウム)」を立ち上げており、今回の新会社ではWeb3インフラ企業Bastion(バスティオン)に発行や準備金管理、資産の保管業務を委託。さらに国内向けには、円ペッグ型ステーブルコインを銀行の預金インフラに組み込めるか、JPYC株式会社との連携模索も進めているとのことだ。
急拡大する市場と連邦認可をめぐる競争
ソニーが参入を狙うステーブルコイン市場は、世界的に急成長を遂げている。2026年6月時点の月間取引高は1兆7,900億ドル(約289.5兆円)に達し、全体の時価総額は3,080億ドル(約50兆円)を突破。テザー(Tether/USDT)やUSDコイン(USDCoin/USDC)がその大部分を占める中、多くの企業が信頼性の高い連邦認可の取得を目指して競い合っている。
OCCはすでにCircle(サークル)やRipple(リップル)、Paxos(パクソス)といったデジタル資産企業に対しても条件付き認可を出している。国家信託の認可を得ることで、企業は預金の受け入れや融資をしない代わりに、連邦政府の監督下でトークンの発行や準備金の管理、資産の保管を行うことが可能となる。
伝統的金融界からの反発と流動的な法規制
一方で、今回の条件付き承認に対しては、従来の金融業界や消費者擁護団体から根強い懸念と反対の声が上がっている。
ICBA(全米独立地域銀行協会)やNCRC(全米地域再投資連合)などは、デジタル資産企業に信託の枠組みを認めることは、銀行と信託機関の法的境界線を曖昧にすると主張。特に、これらの信託銀行には預金保険への加入義務がないため、破綻時に消費者がリスクを負う可能性や、CRA(コミュニティ再投資法)のような伝統的銀行が負う公的責任を免れることによる「規制の不平等」が生じると指摘されている。
また、米国における法整備も依然として混迷を極めている。ステーブルコインの明確なルールを定めるCLARITY法案は上院の委員会を通過したものの、銀行業界や民主党議員からの反発を受けて議会審議が停滞している。大手金融機関のJPモルガンなども現行案への反対姿勢を崩しておらず、規制の先行きは依然として不透明な状況が続いている。
























