バイナンスから大規模な資金流出
世界最大の暗号資産取引所バイナンス(Binance)で、大規模な資金流出が観測されていることが明らかになった。
DeFi(分散型金融)分析プラットフォームDefiLlama(ディーファイラマ)のデータによると、同取引所は2026年6月29日(月曜日)の週に約12億3,000万ドル(約1,900億円)の純資金流出を記録。これは前週の約4億ドル(約647億円)から約3倍、207%の大幅増となり、月間の純流出額も約32億ドル(約5,177.8億円)に達した。
背景にある欧州「MiCA規制」の波紋
この劇的な資金移動の要因として最も有力視されているのが、EU(欧州連合)の包括的な暗号資産規制MiCAの全面施行(※7月1日~)にともなう影響だ。
バイナンスは期限までにMiCAライセンスを取得できないことが確定し、イタリア、スペイン、フランス、ポーランドなどEU域内における居住者向け主要サービスを段階的に終了・一時停止せざるを得ない状況に追い込まれた。さらにギリシャでのライセンス申請も取り下げるなど、欧州市場での苦戦を強いられている。
同社の欧州責任者らは「一時的な措置であり撤退ではない」と強調し、リチャード・テン(Richard Teng)CEO(最高経営責任者)も「ユーザー資産は1対1で安全に管理されており、出金は引き続き可能」と呼びかけているが、規制による先行き不透明感から、多くのユーザーが資産の移動に動いたとみられる。
イーサリアム(ETH)出金が過去最高水準に
資金流出が加速する中、特に顕著な動きを見せたのがイーサリアム(Ethereum/ETH)で、CryptoQuantのデータによると、バイナンスにおける1日のETH出金件数は16万6,000件を超え、2023年3月以来、3年以上ぶりの高水準を記録した。
これについてアナリストのDarkfost(ダークフォスト)氏は、必ずしもネガティブな要因だけではないとの見解を示している。同時期にETH価格は1週間で約12.5%上昇し1,766ドル(約285,700円)付近まで回復しており、今回の大量出金は「直近の安値圏における需要の高まりと、長期的な買い集め(蓄積)」を反映している可能性があるという。
ユーザーが短期トレードを止め、資産を取引所から自己管理型のプライベートウォレットに移して長期保有に切り替えたという見方だ。
中央集権型取引所で進む市場の二分化
バイナンスの流出劇は、他の主要CEX(取引所)にも連鎖。先週はBitfinex(ビットフィネックス)で約4億750万ドル(約659.4億円)、Gate(ゲート)で約2億1,430万ドル(約346.6億円)の純流出が確認されたほか、Bybit(バイビット)なども欧州ユーザーへの制限に踏み切った。
その一方で、Crypto.com(クリプトドットコム)やHashKey Exchange(ハッシュキー・エクスチェンジ)には資金の純流入が見られており、規制の影響や市場の不確実性を背景に、ユーザーが資産の避難先を厳選する「市場の二分化」が進んでいる。
規制への警戒か、あるいは次なる上昇を見据えたETHのクジラ(大口投資家)による蓄積か。複数の要因が絡み合う中、市場の勢力図は今、大きな転換期を迎えている。
























