米国財務省がイラン最大の暗号資産取引所に制裁措置
米国財務省は、イランの暗号資産取引所Nobitex(ノビテックス)を含む4つのプラットフォームおよび主要幹部をテロ対策および金融セクター関連の制裁対象に指定した。
OFAC(米財務省外国資産管理局)は2026年6月2日(火曜日)、トランプ政権の“経済制裁”キャンペーンの一環として、イラン最大のデジタル資産取引所であるNobitexを含む4つのイランの暗号資産プラットフォームを制裁対象に指定。これは、トランプ政権によるテヘランのデジタル金融インフラへのこれまでで最も厳しい打撃となる。
OFACによると、Nobitexは2025年にイランのデジタル資産流入の50%以上を処理し、イラン革命防衛隊、ランサムウェア攻撃、米軍のイラン侵攻作戦後のインターネット遮断時に政権の資産を隠蔽(いんぺい)しようとする試みに関連する支払いの経路として機能していた。
この措置により、ノビテックスは事実上米国の金融システムから遮断され、米国人が同取引所を利用することは禁止される。今回の措置は、テヘランのブロックチェーンベースの金融ネットワークを標的とした、これまでで最も強硬な米国の制裁措置となる。
トランプ政権の最大限の圧力戦略
スコット・ベッセント(Scott Bessent)財務長官は、今回の措置を発表するにあたり、イラン経済の悪化は政権の最大限の圧力戦略が効果を上げている証拠だと述べたうえで、次のように語った。
イラン経済が急激に悪化する中、政権は制裁回避や国外への資産移転など、自らの不正な目的のためにデジタル資産技術を悪用している。
今回の指定は、単一のプラットフォームだけではなく、同じ制裁措置でさらに3つのイランのプラットフォームが制裁対象となった。イランで取引量第2位の暗号資産取引所であるWallexは、2025年にイランのデジタル資産流入総額の12%を受け入れ、革命防衛隊(IRGC)関連の取引を仲介。流入額の10%を占めるBitpinは、イラン制裁回避活動に関与しているとされる投資家を支援者の中に抱えている。さらに、2018年に設立の取引所Ramzinexは、イラン政府系金融機関への支払いを含め、総額24億5,000万ドル(約3,917億円)以上の取引を処理した。
今回の措置がこれまでの制裁措置と異なる点は、Nobitexの経営陣が制裁対象に指定された点だ。OFACは、2025年6月に発生した9,000万ドル(約144億円)規模のハッキング事件後、ノビテックスの事業再建を支援したとして、同取引所の会長、共同創業者、元CEO(最高経営責任者)であるアミール・ホセイン・ラド(Amir Hossein Rad)氏を制裁対象に指定。最高指導者ハメネイ師の側近グループに属するハラジ家の一員である2人の共同創業者と、現CEOのセイエド・アリ・ホイー(Seyed Ali Khoee)氏も制裁対象に指定された。
幹部レベルの制裁措置の追加は、制裁対象者が新たなペーパーカンパニーや別の管轄区域を通じて事業を再構築することを容易に阻止し、指定された関係者が利用できる実質的な逃避経路を狭めるための取り組みである。
今回の措置は、支配的な政策論議に明確な一線を引くものであり、規制当局は暗号資産を周辺的なコンプライアンス問題としてではなく、地政学的・経済的戦争の最前線における手段として捉えている証である。
























