テザー社が1億8,200万ドル相当のUSDTを凍結
テザー(Tether)社は、1日当たりの執行措置としては過去最大規模となる措置を実施し、トロン(Tron)ネットワーク上の相当量のUSDTを凍結した事がわかった。
オンチェーントラッカー「Whale Alert(ホエールアラート)」によると、2026年1月11日(日曜日)、テザー社は1日で5つのトロン(Tron/TRX)ウォレットで約1億8,200万ドル(約289億円)相当のUSDTを凍結。凍結対象となったトロンブロックチェーン上の5つの各ウォレットの保有額は、約1,200万ドル(約19億円)から5,000万ドル(約79億円)におよんでいる。
また、これらの措置は、司法省やFBI(連邦捜査局)などの米国当局と連携して実施されたが、同社は凍結の具体的な理由を公表していない。一般的にこのような動きは、詐欺、ハッキング、制裁回避、その他の仮想通貨の違法使用に関する調査後に行われる。
今回の動きは同社にとって、1日当たりの措置としては過去最大級のもので、これらの資金がベネズエラに関連しているのではないかとの憶測が飛び交っている。ハイパーインフレに直面するベネズエラ国民にとってのライフラインであると同時に、違法な資金の流れを追及する米国当局のコンプライアンス遵守のためのツールでもある二重の役割を浮き彫りにした。
法執行機関の協力を得ての大規模凍結
テザーは、発行するUSDTスマートコントラクトに特別な管理鍵を保持しており、これにより発行者レベルでトークンを凍結できる。
この機能は、法定通貨に裏付けられたステーブルコイン発行者が法的要請やマネーロンダリング(資金洗浄)対策規則を遵守するための手段だ。
今回のUSDTの凍結は、1日あたりの凍結としては最大規模のものの一つで、不正な仮想通貨アドレスの分析を手掛けるAMLBot(アムルボット)の報告によると、同社は2023年から2025年の間に7,000以上のアドレスから30億ドル(約4,763億円)以上の資産を凍結。これは他のステーブルコイン発行者が行った規模をはるかに上回っている。
中央集権化が議論に
今回の凍結は、ステーブルコインの中央集権的管理に関する議論が高まる中で行われたものだ。
USDTは仮想通貨市場で広く使用されており、Tronブロックチェーンでは800億ドル(約127億円)以上が流通。ビットコインなどの分散型資産とは異なり、USDTのようなステーブルコインは、法的圧力が生じた際に発行者によって停止またはブロックされる可能性がある。批評家は、この“キルスイッチ”モデルによってステーブルコインは分散型仮想通貨とは根本的に異なるものとなり、一部政府や機関がビットコインや金などの凍結できない資産を優先するようになる可能性があると指摘している。
ベネズエラにおけるUSDTの台頭
ベネズエラは、例を見ないハイパーインフレと通貨切り下げ、広範囲にわたる物資不足を特徴とする、近代史上最も深刻な経済危機の一つに直面している。
ベネズエラの通貨ボリバルは、管理不行き届き、汚職、原油価格の下落により、2013年以降、99.99%以上も価値を失い、年間インフレ率は2018年に100万%を超え、近年は270%を超えるなど、依然として変動が激しい。
このような背景から、ベネズエラではUSDTが価格安定性、取引コストの低さ、P2Pプラットフォームを通じたアクセス性の高さから、事実上の通貨として台頭。報告によると、ベネズエラ国民は日常的な取引にUSDTを使用しており、高齢者は住宅管理費をステーブルコインで支払っている。
国際的な制裁が強化されるにつれて、USDTの導入は加速。ベネズエラの石油収入の80%(数十億ドルに上る可能性がある)が、そのスピードと手数料の低さから、主にTronネットワーク上のステーブルコインを経由していると推定されている。ベネズエラ政府が2018年に独自の仮想通貨「ペトロ」の発行を試みたものの失敗。USDTの信頼性に対する認識をさらに強固なものにした。
























