コインベースファンドが低所得のニューヨーク市民に仮想通貨給付金を支給
コインベース(Coinbase)は、GiveDirectlyのパイロットプログラムに資金を提供し、抽選で選ばれた160人の所得が低いニューヨーク市民に1万2,000ドル(約180万円)相当のUSDCを6回に分けて支給する。
「Future First(日本語直訳:未来第一)」と呼ばれるこの取り組みは、貧困削減を目指すとともに、受給者にステーブルコインと仮想通貨取引の管理方法を教えることを目指している。慈善団体GiveDirectlyがコインベースの資金を活用し、18歳から30歳までのニューヨーク在住の低所得市民に仮想通貨給付金が支給される。参加者はUSDCをコインベースに保管したり、現金に換金、デビットカードで使用ができ、デジタル金融ツールへのアクセスを拡大する。
コインベースとGiveDirectlyは、これをUBI(ユニバーサル・ベーシック・インカム)と呼ばれるもののパイロットプログラムと呼んでいる。このUBIとは、AI(人工知能)やロボット工学の進歩により雇用が減少する中で、住居、食料、その他の生活必需品を購入できるよう、すべての人に支給される一定額の資金の事である。
なお、初回給付は8,000ドル(約120万円)で、その後は毎月800ドル(約12万円)が支給される予定だ。
USDCでニューヨークの貧困を緩和
寄付者が世界の最貧困世帯に直接送金できる米国に拠点を置く非営利団体GiveDirectlyで、同団体は、コインベースが提供するインフラと資金を活用し、新たなパイロットプログラムを開始した。
GiveDirectlyは、今後5カ月間、無作為に選ばれた160人のニューヨーク市民に12,000ドル相当のUSDCを支給し、パイロットプログラムでは、まず参加者に8,000ドルを前払いし、その後5回にわたり800ドルずつの入金な実施される。ただし、コインベースは参加者の選考には関与しないとのことだ。
このプログラムでは、条件なしの支援が社会経済的地位の低い人々の生活の質をどの程度向上させることができるのかを研究する最新プログラムであり、米国にて、仮想通貨でお金を給付する初のプログラムでもある。
UBIパイロットプログラムではないという声も
コインベースが提供しているのは、UBIパイロットプログラムではなく、200万ドル規模のマーケティングキャンペーンに近いという声も聞こえている。
Give Directlyというな慈善団体と提携しているが、コインベースアカウントの取得が必須だ。現金ではなくステーブルコインでの支払いを受け入れ、ステーブルコインでの支払いをプラットフォームから引き出さずにコインベースに保管することに対するインセンティブなどを考えると、このプログラムの利他的な理由とはかけ離れていると指摘する声も。USDCをステーブルコインの形で保有し、コインベースで貸し出すという選択肢もある。コインベースでは10.8%という破格の金利が提供されるが、破格の金利には、貧困に苦しむニューヨーク市民にとっては破格のリスクが伴う。ステーブルコインによる支援金の受取人は、支援金を受け取る際、ほぼ制限を受けない。
また、このプログラムは、コインベースの過去の過ちや失敗を消そうとする試みの可能性も指摘されている。